[携帯モード] [URL送信]
眞王ルート
脱衣場から、風呂場を確認する。

風呂場のドアにはうっすらと人影。

(ていうか、どうやって入ったの?)

風呂に窓はあるが、人が入れるような大きさではないのだ。

意を決して、扉をあけた。

「あれ?」

「地球の風呂場は狭いな。」

そう言いつつ、風呂場を見回す金髪の男。

「眞王!?」

「叫ぶな、煩いだろう。」

確かに、風呂場は反響しやすい。

キィンという耳鳴りがしそうだ。

眞王も思わず、耳をふさいだ。

「ていうか、なんでいるの?」

「お前に会いに来た。」

「は?」

「再会の証に、風呂でも一緒に入らないか?

此方に来たときに俺も濡れてしまったしな。」

「何?それでわざわざ出てこなかったの?」

「あぁ。」

どうやら風呂場に薫を誘導する作戦も兼ねていたらしい。

呆れた薫は風呂場を出ようとした、

しかし、眞王が薫の腕をつかんだ。

「逃がさない。」

「ちょっと、離してよ。」

「それは出来ないな。」

「ていうか、帰ってよ。

何しに来たの?」

薫の口調は変わらず冷ややかである。
眞王は大きくため息をついた。

「お前に会いに来たと言っただろう。

何度も同じことを言わせるな。」

「意味がわからないわ。」

薫は冷たくあしらった。

「全く…、お前の波長があまり良くないからわざわざ来てやったんだ。」

要は何かしらの気配を感じ取ってわざわざ来たらしい。

半信半疑で薫は聞く。

「私の為にわざわざ来たの?」

「当たり前だ。

俺の騎士だからな。」

いつもはウザったいぐらいのこの言葉が、

今はとても安心できた。

「本当に!?

じゃあ協力してほしいことがあるんだけど…。

ぁ、服着替えてからで良いわ。」

「いや、お前と風呂に入る。」

(なんて頑固な子供だ…)

薫がため息まじりに考え、

ハッとしたように得意気に眞王から逃れて言う。

「私の手料理、一生食べられなくても良いのね?」

「それは困る。」

即答だ。
「じゃあ、風呂はお預けね。

はい、話おしまい!

じゃあ、着替えもってくるから。」

自分のペースに眞王を巻き込み、
やがて薫はその場をあとにした。

「全く…相変わらずだな。」

昔のままでいてくれるというのは、

嬉しくもあり、哀しくもあった。

そのまま、眞王は大人しく和服に着替え、客間へ移動した。


薫は約束どおり、手料理を並べて待っていた。

「はい、とりあえず座って。

食べながらで良いから、聞いて。」

「いや、先に食べたい。」

「は?」

「四千年ぶりのお前の食事だ。

味わって食べたい。」

(あぁ、そうですか。)

嬉しいやら呆れるやら、薫は眞王の食事が終わるまで待った。

食べながら、思い出話をいちいちしたり、

歓喜のあまり一品ずつ誉め殺しするので、

薫は内心うんざりだった。

「美味かった。やはり、お前は最高だ。」

「それはどうも。

それでね、実は明日お見合いしなきゃいけないんだけど…。」
「なんだと…?」

(あれ…?)

眞王の瞳が急に冷ややかになり、

明らかに不機嫌な顔になった。

「相手は…?」

「さぁ?叔父さんの知り合いかな。」

「どこぞのもやしと結婚する気か?」

「はい?」

(もやしって言った!?)

眞王の機嫌は最悪で、


食事中に切り出さなかったのは正解らしい。

「別に、見合いするだけ。

まぁ見合い自体したくないんだけど、叔父が勝手に決めちゃったのよ。」

「尚更、許せんな。

今からそいつのところに…。」

眞王が立ち上がったのを、慌てて止める。

「いや、今はダメよ。

夜だし。」

「そうか、殺るなら明日か。」

眞王の表情も、口調も真剣である。

薫としては、嬉しい反面、

何をするかわからない眞王が心配だ。

「変なことしないでよ。」

「何を言う?

俺は眞王だぞ。」

「一体その自信は何処からくるわけ?」

「お前に決まっているだろう。

俺はお前を守るからな、絶対に。」

「何それ?」

しかし、いつになく真剣な眞王を前に、

薫はきょとんとしている。

眞王は呆れながら、言った。

「わからないか?

愛の告白だ。」

「ぶはっ、何言ってんのよ!?」

思わず飲んでいた茶をふきそうになった。

眞王は変わらずだが。

「何を今更驚いている…。

俺は昔から1日中愛をささやいていただろう?」

「そうだったかしら?」

薫は相変わらずきょとんとしている。

「全く…お前は昔から鈍い。

まぁ、だからこそ安心していられるとも言えるが…。

とりあえず、明日は俺に任せろ。」

眞王はそう言ってニヤリと笑った。

「ところで、お前の部屋はどこだ?」

「なんで?」

「一緒に寝るからに決まっているだろう?」

(まだ言うか!?)

呆れた薫はぴしゃりと客間の襖を閉じた。

「一人で寝なさい!」

そして、薫は自室へ戻り、やがて眠りについた。








―――翌朝。

早朝5時。

ピピッとなり始めた目覚まし時計を止める。

「相変わらず早起きだな。」

「当たり前でしょ…

って、何してるの!?」

気づけば眞王が隣で寝ている。

「添い寝だ。」

さも当たり前のように返す眞王。

「ていうか、いつ来たのよ。」

「お前が寝たあとだ。

全く…そう、照れるな。」

眞王は謝る素振りもなく、むしろ得意気に言う。

「照れてないから。」

冷ややかに即答する薫。

眞王から布団を剥ぎ取って、押し入れへてきぱきとしまう。

名残惜しそうに眞王はそれらを見ていた。

「昔は、よく膝枕もしてくれたのにな。」

「貴方が、勝手に私の膝の上に頭乗っけてただけじゃない。」

「よく覚えているな。」

「夢で見ただけよ。」

「夢で見るほど、俺のことばかり考えていたのか…。

光栄だな。」

薫の言葉をスルリとすべて受け交わしていく眞王。

さすがに諦めた薫も朝食の準備に取りかかる。

眞王は地球のものにやたらと興味津々で(特に薫の私物)、

色々いじられそうな不安が有ったため、

台所から見える居間に眞王を移動させた。

テレビを見せると、それなりに暇つぶしになっているようで薫はほっと一息ついた。

そのまま、朝食を食べ、稽古をし(眞王とも久しぶりに剣を交えた)、老婆が来た。

「お嬢様、こちらの方は?」

老婆は目を丸くして、薫と眞王を見比べた。


「え〜と…ね。」

「俺は、こいつと未来を誓い合った仲だ。

かれこれ四千年の付き合いになるな。」

あながち嘘ではない。

しかし、四千年など一般的にはあり得ない。

老婆はふっと笑った。

「そうですか。

これからもお嬢様を宜しくお願いします。」

「あぁ。」

眞王もちゃっかり老婆に頷いた。

「それがお前の言っていた男か?」

気づけば叔父までいた。

「克彦様!?」

老婆も目を見張る。

加えて、眞王の瞳は叔父を冷ややかに睨み付けている。

「心配になって見に来てやったのさ。」

「それは結構なことですね、叔父様。」

薫も憎々しげに、敬語で返した。

「何?こんな人間がお前の叔父なのか?」

「は?」

叔父が眞王の言葉に耳を疑う。

「こんなちんけな人間が選ぶ人間など、

たかが知れている。

今日の見合いにいく必要などない。」

眞王はさらりとそう言うと、

薫と家の中へ戻ろうとする。

「せっかく、此方の世界に来たんだ。

何処かに行かないか?」

既に眞王の視界に叔父はいない。

「なんだとっ!」

ついに叔父がキレた。

「黙れ。帰れ、下衆が。」

瞬殺とはまさにこの事。

眞王の瞳に逆らえるものなどいない。

叔父は震えていた。

(眞王ってやっぱりすごいかも…)

呑気に考えながら、眞王を本気で怒らせないことを誓った。

「い、一体、お前はっ!?」



「俺は眞王だ。」

「何を…。」

「四千年前に俺はコイツと創主を倒し、
眞魔国を建てた。

信じられないなら、教えてやっても良いが?

その体にたっぷり教え込んでやるよ。」

(ぁ…まずい)

眞王からは凄まじい殺気と、

発動しかかっている魔力が感じられた。

叔父も命の危険を感じたのか、

「わ、わかった。」

「そうか。今後一切こいつには手を出すな。

良いな。」

「あ、あぁ、わかった。わかったよ。」

叔父が納得したらしいので、眞王からもようやく殺気が感じられなくなった。

「失せろ。」

そして、一言眞王がそう言うと、

命からがら逃げるように叔父は去っていった。

「…ありがとう。」

ちょっと叔父を可哀想に思いながら、お礼を述べた。

「いや、礼など良い。

それより俺も早く戻らなくてはいけないようだ。

時間が来てしまった。」


(○ルトラマン!?)

しかし、唖然とした薫を前に、

また会おう、と言いながら、眞王は庭の池から立ち去っていった。

濁流に呑まれ、居なくなってしまった眞王。




束の間のハプニング。






―お前の為なら、この身など、この力など、いくらでも差し出そう。












眞王は18禁になりそうでギャグへ走った


再チャレンジ


ネタバレは此方


楽しんでいただけたでしょうか

感想などありましたらお寄せください。

掲示板へ


とりあえず拍手



今後の参考にいたしますので、ぜひともお願いします(o_ _)o









あきゅろす。
無料HPエムペ!