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次の日、久しぶりに学校に行った気がした。

実際には、そんなに時間がたってはいないのだが、第一回スタツアがまだ薫に不思議な感覚を残していた。

「おはよ。村田君」

「薫、眠そうだね」

学校の校門であった二人は、そのままクラスへ直行した。

「なんだか、まだ色々心の整理がね」

「そりゃそうだよ。かなり突然だったし」

「でも、村田君がいたから、心強かったけどね。まさか、大賢者だったとは…」

すると、村田はクラスの扉の手前で立ち止まった。

「まぁ、お互い地球じゃただの高校生だしね」

「そうね」

そのまま、笑いながらクラスに入ると、なぜかクラスの視線が二人に注がれた。

それもそのはず、地球軸で言う『今日』という日に、突然二人が仲良く校門から登校してきたのだ。

からまれやすくて、気弱な印象の強いムラケン。

一方、剣道全国制覇者でクールで美人な冷徹少女で名高い薫。

今までもクラスメートとはいえ、会話はつい昨日まで二言三言にすぎなかった。

「何!?ついに付き合ったの?」

薫の友人の女子が急に、詰め寄ってきた。

興味津々の様子である。

「は?」

(ついにって何よ)

薫が、唖然としながら友人を見る。

「全く、朝から仲良く登校しちゃって」

村田は誰にでも接するタイプではあったし、少々冷めた薫に対してはより一層過保護(?)なことは、クラスも承知の上だったらしい。

「いや、違うんだけど」

薫は、冷静にさらりと否定する。

「そうそう、やっと友達公認みたいな、ね。さっきも偶々校門であっただけだし」

村田はいつもの口調で、そう話したが、

(そう、あからさまに否定しなくても)

と内心、薫に苦笑いを浮かべた。

「なんだ、つまらないの〜」

「つまらなくて、結構だわ。じゃあ」

機嫌を損ねた薫は、自分の席へ移動して読書を始めた。

村田もため息をつきながら、薫の見える自席に座った。

(本当はもう少し長い期間、こういう時間が続くはずだったのに…)

と思いながら、

『クラスメート』から『友達』に昇格したことだけは、唯一、眞王のいたずらに感謝することろであるなぁとも考えた。

(まぁ、どうせ、眞王とはいえ、地球まではこれないしね)


そんな風にくすりと笑う村田を、誰も知らない。

此処は村田だけの特等席なのだ。




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