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TALES OF THE ABYSS〜凡愚の意地〜
B

(む……めちゃくちゃ眩しいな、あの発光物体め、どんだけ光り輝けば気が済むんだコンチクショウ)

と峻が訳の分からない文句を言っているとようやく瞼の裏からでも感じ取れる程の強い発光が収まった。

(え〜、多分アイツらはトリップしたよな?で、俺は弾かれただろうから、ここは『一体……何が……』って呆然とした後に、『アイツらが……消えちまった』と言えばよし。)

でもアイツらが帰って来るまで暇だな〜と目を閉じながら呑気な事を考えていると、風を感じ更に足が地面を踏みしめているのを感じた

(よし!ここで第一声、数少ない出番だからバッチリきめるぜ!メタ的な発言は許せっ!)

「一体……何が……」

「ホントね、しかもここどこかしら?」





おや?






聞こえる筈のない声がして目を開いて右をむくと

「……友里さん?」

「他の二人はいないみたいね、はぐれちゃったみたい」

友里が峻の隣でキョロキョロと辺りを見ていた。

(何で彼女もここに!?居残り組はこの二人ですか!?んなバカなぁぁ!)

考えてたことと全く違う事態に峻の頭は大混乱に陥る。

(いや落ち着け俺、koolだkoolになるんだ)

とりあえず深呼吸をして落ち着く峻、因みにクールの綴りはcoolであるのは本人の名誉とネタ的な意味で言わないでおこう

「近くを探せばいるんじゃないか?ほら体育館の辺りとか」

「体育館なんてないじゃない」

「ハハハ、何を言ってるんだ。すぐ近くに体育館がねぇぇぇぇし!?しかもここドコォォォォ!?」

友里に言われて峻が辺りを見ると

そこは青々としげる草原のど真ん中でした。

(まさか……俺もトリップしちゃったんすか!?)

(いや有り得ない、そんなことは有り得ない、俺なんてドラ〇ンボールで言うとヤ〇チャですらないウーロンだよ?
あの服着ただけの空もとべないただの豚だよ?
服着るだけなんて大体の動物は出来るっつーの
そんなやつをトリップしてもあの豚何もしねぇぞ?いや俺も何も出来ないけど)

「大丈夫?まぁいきなりこんなとこに連れてかれれば気持ちはわからなくもないけど」

頭を抱えながら、チクショー恨むぞトリップさせた知らない奴〜、とか考えていた峻に友里は心配そうに声をかけるが、残念ながらその心配は少しずれていた。

「原因はともかく、これからどうすれば……」

友里が途方にくれたように呟くと、キラリン!と峻の頭にひらめきの電球が灯った。

(待てよ、ここは不安に駆られる友里を俺がかっこよくリードすべきでは?そうすりゃもしかしたらもしかしちゃうんじゃ……!)

物語冒頭で諦めただの言ってたが、男というやつはいつまでも引きずる生き物なのだ。醜くチャンスにしがみつくくらいは許していただきたい。

(ここは見晴らしのいい草原だがこういうのは遠近感が狂う、近くに何かあると思っても実はめちゃくちゃ遠かったりするんだよな〜、つまりここは……っ!)

「よし、ここは下手に動かず助けを待と「あ、あそこに街があるわ、行ってみましょう」ですよね〜」

「?」

峻の下心満載の作戦は初っぱなから打ち砕かれた。

(な、情けね〜)

泣きたくなる心を抑え友里が見ていた方を見ると、確かに街がある。

街があるならなるべく早く行った方がいいだろう。人に聞けばここがどこだかわかるかもしれない

「あぁ、ホントだ。んじゃ行ってみるか」

「えぇ」

そうして二人は街へと歩き出した。



ここで話は脇にそれるが草原というものは意外にも色んな物が落ちている。30cm程度の草が落ちている物を覆い隠してしまうのだ。

だから

(あ、友里の足元に石ころが!)

「おい、足元に石……へぶっ!?」

「!?大丈夫!?怪我はない?」

こんな風に転んでしまうこともよくある。

友里が石につまづき転んでしまうのを助けようとした峻であったが、灯台もと暗しというやつか、自分が石につまづき転んでしまった。

「どっかすりむいたりとかはしてないみたいね」

「あ、悪い、助かったよ」

(死にてぇ……)

良いとこ見せようとしたのに逆に心配されるは良いとこないわで散々な目に遭う峻

(やっぱこういうのは眞樹の役割なんだな)

身をわきまえろってやつかよと自嘲しながら峻は友里の後について街を目指した。



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あきゅろす。
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