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TALES OF THE ABYSS〜凡愚の意地〜
@〜ある凡愚の独白〜

いつからだろうか?俺が彼女を追うのを諦めたのは……

彼女がアイツを好きだと気付いてからだろうか

アイツは凄い奴だった。いや今も現在進行形で凄いんだけど

勉強も出来るし、
部活の剣道も個人で関東大会に出るくらい強い、
地毛なのか薄い茶髪が混じった黒髪は女が嫉妬するくらいサラサラで
顔もジャニーズに応募すれば確実にグループ結成間違いなしな程端正で
所謂、イケメンというやつだ。

そんな奴が女子にモテない訳がなく
現にクラスの半分はアイツに大なり小なり好意を抱いているんじゃないだろうか

そんなオイシイ状況なのにそいつときたら
「ただ仲がいいだけさ」

とこれまた女ならホの字になってしまう程の微笑みを浮かべてそんなことをのたまう程の鈍感と来たもんだ。

てめぇはどこのギャルゲの主人公だ!とその爽やかスマイルにラリアットをかましたのは正しい判断だったと今でも思ってる。

ようするにだ、アイツには東堂 眞樹にはなんつうか……アレだ、『主人公の素質』ってやつが充分過ぎるほど備わっていたわけで

俺はその眞樹の、主人公の親友ポジションに位置する言ってしまえばただのモブ役なわけで

自分で言うのも難だが、俺なんざ眞樹と比べると比べられた側がかわいそうなくらい全てが劣っているわけで

そんな俺でも女子には結構話しかけられる。

羨ましいと思った奴、それは残念ながら間違っているとしか言いようがない。話しかけられるつったって大体は、

「東堂君の幼なじみなんだって?いいな〜、ねぇねぇ!私に紹介してよ」

とか

「東堂君ってどんな女の子が好きなのかなぁ、ていうかぶっちゃけタイプは?なんか聞いてない?」

とか、俺が持つ親友ってポジションを利用してアイツとお近づきになろうという下心を持った方々が殆どなんだから

まぁこっちも女子に頼られるのは例え自分に欠片も興味がなかろうが嬉しい。

だからなるべく叶えてやってはいるんだ。
(そのたびアイツに飯を奢らせてるが、それはモテない奴らの恨みの一撃だとでも思ってくれればいい)

と此処まで色々とこき下ろしちゃいるが俺はアイツが嫌いなわけじゃない、むしろ最初にして最高の親友だと思ってる。

アイツは本当にいい奴だ、だからこそ俺は彼女を諦められたんだ。

お前にとられたんじゃ仕方がないって

お前なら俺より彼女を幸せに出来るだろうって



長々と語ってしまったが、ようは『主人公』の眞樹と
その親友でただの凡愚である俺……真島 峻の話ってことだ。

まぁ眞樹の奴がいろいろとすげぇことをする物語でも支障はねぇよ?
むしろその方がわかりやすいなきっと

んじゃ……はじめようか



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