NoVeL
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気がつくと龍の顔が近くなってて、
私の額にあてられる。
「ん〜微熱ぐらいあるんじゃね?」
「だっ大丈夫っ」
私は慌てて龍を押し返し、少し距離をとった。
ダメだ。近づいたら、ダメ。
一瞬でも味わってしまった昔から変わらない龍の甘い香りが、
私の頭を支配しそうだ。
私は自分に必死で言い聞かせ、
なんとか涙をこらえる。
やだ・・・。また思い出しちゃうよ。
あの頃のあったかいぬくもりを。
言葉を、気持ちを、
・・・龍を。
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