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NoVeL
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「あのさー・・・エトってまだ来てないよね?」

「ぇ、龍?」

そういえば前田くんっていつも龍のそばにいたっけ・・・。

「ぇっと、知らないです・・・」

私はもちろん前田くんの顔すらみることもできずに、俯き加減で答える。

そっかぁー、と言いながらまだ去ろうとはしない前田くん。

・・・・・ぁ、やばい。
ちょっと頭痛がひどくなってきたかも・・・。

そう思ってくらっとした瞬間、前田くんがまた顔を近づけてきた。

「ねぇ、美優ちゃん。」

「はっはい?」

「美優ちゃんってさぁー・・・」

そういいながら私の俯いた顔を覗きこもうとして、前田くんはゆっくり屈んだ。

―――と思った。

――ヒョイッ

「・・・っ?!」

前田くんが屈みこんでくると同時に、
私の体が空中に浮かんで、少しはなれたところに降ろされる。

「龍っ・・・。」

私が顔を確認して声を上げると、
龍は少しだけ私を見つめて視

線を前に戻す。

「おぃ、俊樹。」

俊樹というのは、前田くんの名前。

前田くんはこころなしか不機嫌に聞こえる龍の声に苦笑いを浮かべる。


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