君と私とぼくと 「え、じゃあ君のシャーマンなの?」 意外な一言だった。 小学生少年……いや天才少年は私の隣で少し驚いた程度で私の言葉を反復した。 それよりも驚いたのは私だった。私がふざけて笑って職業はシャーマンだよと言ったら少年はそれを信じたと言うのだから。 今のこの時代、私と同い年だとしてもシャーマンニズムと言う言葉の意味、存在の意味すら知らない子が多いだろうに。 気にはなったので私は彼を見据えた。 「あ、私は空って言うの。こっちはアネモネね」 「あ、ぼくは小山田まん太。よろしく」 手を差し出されて握手を交わす。あ、思ってたよりも大きい。 「君もシャーマンなの?」 先ほど返された返事と一緒の問いを交わす。 「ぼくじゃないよ。ぼくの友達がシャーマンなんだ。シャーマンファイトにも出場してて――」 「え――?」 うん、友達が出場って。 「シャーマンファイトって……もう開幕してるの?」 「え?君って……出場者じゃないの……?」 まん太君が気まずそうに話す。隣と大人しくコーラを啜っていた筈のアネモネすら 「どういうことなんですか!!空様っ!」 「いや……私は……」 「ぼくの友達は予選の一回戦はもうやってたけど……もしかしてオラクルベル持ってない……の?」 私とアネモネは思わず顔を見合わせてしまった。持っていない。S・Fの開催時期は……巨大な流れ星が流れたとかなんか。 「どーするんですか、ソラ様」 「どうしようかねぇ……あはは。困ったねー」 「ユルッ……」 と、突っ込みを入れたのはアネモネではなくてまん太君だった。 「私、パッチの知り合いなんて居ないしなー。日本に来たのも一昨日だし」 「一昨日って……」 まぁ、具体的な参加表明の方法なんか知らなかったし、取り敢えず東京に来ておけばいいなんてのが間違えだったかな。 「困ったなぁ。今日の宿もないしさねー。今日どうにかして明日スイスに帰ろうか?」 「帰っちゃうの!」 「ソラ様、やりたい事があっからここまで来たんじゃないですかっ!」 「そうなんだけど……」 「それにアドネスはどうするんですかっ!」 「そうなんだよね……あはは。困ったね」 「真剣になってください」 「ねぇ、空さん?」 「なにまん太君?」 「よかったらぼくの友達に会いに来ない?もしかしたら、パッチの人と連絡出きるかもしれないし、それにまぁ、一応民宿をやってるみたいだからさ」 「本当ですか!それは願ってもないことですねっ!ね、空様、どうしたんですか?」 「ねぇ、まん太君いいの?もしかして私達はS・Fの参加者で君と君の友人を罠にかけるために」 「そんなことする人はもっと上手くやるさ」 まん太君は何も言わず私の目をじっと見据えた。私は小さく息をついた。そんな事をされると折角力を使わないようにしているのに。 「何があっても葉くんなら大丈夫か……」 「え?」 「いやいや、じゃあお世話になっちゃおうかなー、よろしくねまん太君」 「う、うん」 「さぁ、アネモネー行きましょう」 偶然か必然か それは、いま私が決めた事だった、 どんないたずらか知らないけど 私達はまた再び、巡り会うことになるのだから . [戻る] |