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FINAL GAME
6
 俺は顎に手を当てて暫く考えた。視線の先にあるのは遊来作の地球に優しいエコ銃だ。人間には優しくないところがポイントである。

「その銃、ちゃんと使えるのか」
「あ?お前も見てただろ、あの変な鳥撃つの」

 確かに見た。しかし、あの遊来のことだ。俺は甘いなとばかりに説明してやる。

「一発目から暴発なんて単純なマネするかよ。大体5発目辺りに仕掛けをだな……」
「ちょっとまて。何故仕掛けあること前提なんだよ」

 何故って遊来だからだろうが。それ以上の理由がいるのか?  俺が疑問に思ってそう返すと、一太はやれやれとため息をついた。

「流石弟なだけあるな。血の繋がりを感じる」
「弟ではあるが血は繋がってねぇよ。どこに目をつけてんだ」

 俺と遊来に外見で共通する要素は一つもない。あったらびっくりするわ。
 俺の言葉に一太は気まずそうな顔をした。別に家庭内のゴタゴタがあった訳じゃないからそんな顔されても困るんだけどな。

「じゃあ、今は二人で住んでるんだな」
「え?ああ、家にな。そうだけど?」
「良かったな」

 一体何がだ、お前は何故主語をつけて話す事が出来ない――と、本来なら言っている所だが止めた。良かった、とは両親が死んだ後俺が一人にならなかったことを言っているのだろう。
 もし、あの家に一人残されていたのなら。そう考えると身体が震えそうになって無理矢理意識から飛ばした。

「――とにかく、銃の点検はちゃんとしとけ」

 そう言いながら銃に手を伸ばす。ずしりと重い感触。全く、なんであのガキはこんなもの一太に渡したんだか。武器なら俺に寄越せ。
 薬莢を抜いて確認する。ざっと見た所、変わった部分はない。いやでもアイツの事だからな。次元装置くらいつけてるかも――。

「そんなの後にしろよ」

 と、急に後から手を回された。お互いが裸たから暖かい感触に包まれる。そして伸ばされた手が俺から銃を奪った。

「なんだ、先にヤることヤれって?」

 振り返って聞くと、物凄く不服そうな顔をされた。はっきり言い過ぎたから萎えたのか?
わざとらしく俺に聞こえるよう盛大なため息をついた一太は「まあそういう事だ」と俺を仰向けに転がす。柔らかいベッドの上なのでなんの抵抗もなく転がってやった。

「あってるならため息つくなよ」
「……もういいから黙れ」

 俺の声なんか聞きたくないですかか、そうですか。まあ、お互い性欲処理してるだけだもんな、男の声なんて聞きたくないか。

「っ、ん……」

 自ら足を開けば、慣れた手つきで後孔を解される。指を2本入れた所で中指を引っ掻くように曲げられれば電気が走るような快感が押し寄せる。もうすっかり覚えられてしまった俺の『イイ所』だ。

「ふっ、あっ…」

 一太の雄を受け入れるくらい解れたと判断したら指を抜かれる。俺は一旦起き上がって一太の下半身に舌を這わせて奴の雄を勃たせてやる。いつも通り。まるで作業のような手順。
 先走りが溢れてきたのを確認して、俺は口を開いた。一気に雄を咥えて快感を引き出してやる。じゅぷり、と卑猥な音をわざとたてて奉仕を続きけると、限界が近づいた一太が俺の髪を掴んで引き剥がす。

「っ、くそっ……」
「ぅあ、熱……」

 そのままベッドに押し倒されて、熱い塊を入れられて。隙間無く重なった身体にしがみ付けば、お互いの心音が響くのを感じる。
 ……この瞬間が、一番好きかもしれない。
 指でナカを掻き回される快感より、イク時の真っ白になる感覚より、この暖かい温もりが一番落ち着く。多分、これが欲しくて俺は一太と寝てるんだと思う。
 生きてるって、証。

「――――っ、」

 その時、急に閃いた考えに目を見開いた俺は全身を強張らせた。それに一太も気づいたのだろう、どうしたのかと訝しげな顔をする。

 何故、遊来は一太に銃を渡した?
 銃がなければ困るような事が、今後起きるからなのか?

「おい、聖王?」
「一太……お前、これから先、危険な目に遭うのか?」
「あ? 先の事なんか分かるかよ。未来を見る方法なんてねーんだから」

 見る方法は、ある。いや正確にいうと、あったのだ。ゲームの中で。

――今から起こる、ゲームだよ
――時が追いついちゃったんだ。もう、夏が動き出してしまった

 夏が、近づいてくる。
 遊来、お前はゲームの中で一体どんな未来を見た?

「聖王? おい、聖王!」

 耳元で聞こえた叫び声で、我に返る。視線を動かせば、一太が俺の頬を軽く叩いているのが目に映った。暖かい身体。聞こえる心音。――この音が止まる瞬間を、俺は、聞いた事がある。

 俺は目の前の身体にしがみ付いていた。そして気づく――自分の身体が、震えている。
 見たくない。
 自分以外の人間が死ぬ所など、俺はもう2度と見たくはないのに。

「……だ、嫌、」
「聖王、一体どうしたんだよ?」
「たく、ない。見たく、な……考えたく、ない」

 いつまでも震えている俺にふと、生暖かい息がかかった。一太が何度目かわからないため息をついた所為だ。

「よくわかんねーけど、考えないようにしたらいいんだろ」
「いち、太……?」
「考えられないようにしてやるよ」
「え、っふぁっ、あっ、ああっ」

 目の前でにやりと笑ったかと思うと、一気に体重をかけられて奥を抉るように掻き回される。激しい行為に、俺の口からは悲鳴に近い声が漏れる。

「うっ、ああっ……った、いち、たぁ」
「っ、く」

 快感に零れる涙を流せば、律動はいよいよ激しいものになっていく。必死にしがみ付いた一太の身体に、引っかき傷が増えていく。

 お互い何度イッたか分からないほど絡まりあって、いつの間にか俺は意識を失っていた。
 

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あきゅろす。
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