FINAL GAME PRAYER・1 (PRAYER SIDE:) 部屋は、真っ暗だった。 さらに目を閉じれば、全ての意識は完全な闇に包まれる。 脳裏に浮ぶのは、綺麗な黒髪に吸い込まれそうな黒い瞳の少年の姿。 小学生の聖王は、クラスの中心人物的存在で。 明るくて、少しやんちゃで、皆を虜にする力を持った少年だった。 今の彼は、どうだろう。 心を閉ざして、自らを嘘で固めて、 それでも、変わることのないその瞳にやはり僕は惹き付けられる。 「聖王……ゲームを始めようか」 ぽつりと呟いたその声は、愛しいその人に届くはずもなく。 それでも僕は、信じている。 彼ならきっと、僕を見つけてくれるはずだと。 これはきっと最後のゲーム。 そしてきっと最後のチャンス。 だから僕は願うんだ。 聖王、君の運命がより良い物である事を。 僕はカーテンを開けた。 窓越しに見える月は大きく、部屋を照らしてくれる。豪華な調度品が並ぶ、学園の一室。 月明かりを使って、僕は手に持っていた書類を見た。 もうすぐしたらやって来る、この学園の転入生の資料。 そこに写っていたのは僕が愛してやまないただ一人の姿だ。 「ようこそ……いや、お帰り、かな。聖王」 早くおいで、この学園へ―― 〈第1章・END〉 [*前へ] [戻る] |