夢小説 【イナイレ(中編〜長編)】
伝わらない…
**剣城京介Side**
優希さんに告白した。
今までの関係が壊れることを承知の上で。
これ以上は押さえられなかったから……。
優希さんは不思議そうな顔をしていたのを覚えている。
でもすぐに笑顔になって……。
「嫌われてるわけじゃないんだね、良かった。……私も京介くんのことは大切だし、好きだよ。優一くんと同じぐらい。」
やっぱりそう受け止めるか。
中学生に本気で告白されるとは普通思わないからな。
いや、相手にしないだけかもしれない。
自分の中でやり切れない気持ちが大きくなった。
これ以上中途半端に続けても、綺麗にかわされるだけだろう。
ならいっそ今の状態を完全に壊してしまえば楽になる。
「そろそろ帰った方がいいかな。随分遅くなってしまったし……。また何かあったら言ってくれたら嬉しいかな。」
優希さんはそう言ってその場で伸びをした。
「優希さん……。」
名前を呼ぶ。
「何?」
そう言って彼女がこちらに振り向いた瞬間……
「!?」
唇を奪ってやった。
柔らかい感触が残る……。
優希さんは何が起こったのかわからず困惑していたが、状況を理解したのか、驚いたような表情で俺を見た。
「俺の気持ち、わかってもらえましたか?」
真っ直ぐ目を見を見つめ返す。
「……うん……でも……。」
彼女は前に向き直り、目をふせて言葉を詰まらせた。
「中学生だから無理……ですか?」
「……。」
無言ということは肯定か。
わかっていたことだが……心がズキリ、と痛んだ。
「わかりました。……今日のことはもう忘れて下さい。」
辛い気持ちを押し殺し、立ち上がると、俺は走ってその場を後にした。
背後から優希さんの声がしたような気がしたが、一度も足を止めず、振り返ることもしなかった。
もう優希さんとは昔のように話せないだろう……。
後悔はしていないが、本当にこれで良かったんだろうか。
答えのない考えをループさせながら帰路につく。
いつもは優しい月の光がとても冷たく感じた。
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