夢小説 【イナイレ(中編〜長編)】
どうして?
**剣城京介Side**
優希さんが試合を見に来る。
それだけでこんなにドキドキしてしまう。
やっぱり俺はあの人のことが……
好きだ。
そんな気持ちに気付いたのはつい最近。
兄さんと優希さんのことをよく話すようになってからだ。
それまでは姉のような存在としてしか思ってなかったんだが。
「なんで10歳も離れているあの人に……。」
我ながら呆れる。
相手にされるはずもないのに。
考えれば考えるほど、ネガティブな方向に考えてしまう。
こんなことで試合は大丈夫か、と不安を感じながら帰路についた。
試合当日。
「剣城、今日なんだか落ち着きないね。何かあったの?」
そう話しかけてきたのは松風だ。
「別に。なんでもねぇよ。」
松風は納得してないような顔をしていたが、それ以上は追求してこなかった。
追求されても困る。
落ち着きがないのはわかってるが、どうしようもない。
「!!」
見つけた。
兄さんと……優希さん。
私服姿の優希さんはとても可愛くて……。
兄さんと二人で楽しそうに話しているその姿を見ると、何とも言えない気持ちになった。
そして童顔の彼女は、兄さんとお似合いのように見えて心がズキッと痛んだ。
俺の視線に気付いてか、彼女は微笑みながら手をこっちにふってきた。
俺は気付かない振りをして、視線を反らすと同時に、整列するように声がかかったので、グラウンドに走って行った。
試合終了。
チームは勝った。
そして俺はゴールを決めた。
優希さんはどう思っているだろうということが、最初に頭をよぎった。
「俺、行くとこがあるんで。」
「え?あぁ。」
キャプテンが不審そうな視線を向けて来たが、引き止められはしなかった。
そう言うとスタジアムから出た。
するとちょうど兄さん達も出て来たところで、兄さんが気付いて手をふってきた。
俺は二人に駆け寄っていく。
「お疲れ、京介。」
「お疲れ様。」
笑顔で迎えてくれる。
それがなんだか虚しさを感じさせた。
「どうしたの?嬉しそうじゃないみたいだけど。」
優希さんが心配そうに聞いてくる。
「まぁ勝って当然ですから。」
そう言うと彼女は柔らかく微笑んで、そうなの?と言った。
勝つのは当然。
だが喜べないのは別の原因があるからだ。
そんなこと言えないが。
「……。じゃあ私は帰るね。何かお邪魔したいだし。今日は二人ともありがとう。」
どうやら自分がいることで、俺の機嫌が悪いと思ったらしい。
もう少し一緒に居たいなんて言えない。
黙って手をひらひらと振ってかけていく彼女を黙って見送るしか出来なかった。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!