夢小説【イナイレ】
きっかけ(剣城京介)
「おはよう、京介。」
「……。」
無視……ですか。
いつもは聞こえるか聞こえないかの音量で返してくれるんだけど。
機嫌が悪いのかな。
「理緒おっはよー!!」
「おはよう、理緒。」
「あ、信介くん、天馬くんおはよう。」
二人はいつも通り。
「ねぇ、京介が機嫌悪いみたいだけど……何か知ってる?」
二人はうーん、と並んで腕を組んで考える。
仲いいんだな。
同じポーズしてるし。
「あっ!」
声を発したのは天馬くん。
「何か思い当たる?」
「昨日さ、理緒「ちょっと来い。」えぇ!?」
天馬くんと信介くんが剣城に拉致られてしまった……。
え、なんなの?
京介の機嫌悪いの私のせいなの?
私の名前出たところで連れていかれたってことは……え、私何した?
結局わけのわからぬまま、昼休みがきてしまった。
このまま部活とか、なんか嫌だな……直接聞いて……答えなさそうだね。
購買でパンを買って教室に戻る途中、
「倉間先輩!」
「雪川じゃないか。どうしたんだ?」
倉間先輩を見つけた。
取りあえず、手当たり次第聞いてみよう。
「あ、そうだ先輩、昨日は買い出し手伝ってくれてありがとうございました。」
「ん?あぁ気にするなよ、暇だったんだから。」
マネージャーがほとんど帰った後で監督から買い出しを頼まれて……。
倉間先輩が手伝ってくれてくれてだいぶ助かった。
「そうそう、先輩に聞きたいことが「理緒!!」」
驚いて振り返ると京介の姿が……凄い険しい顔してるけれども。
「来い。」
「え、ちょっ……私倉間先輩と話してるんだけど…って聞いてる!?」
京介に引きずられていく私を見る先輩は、ちょっとさびしそうな表情だった。
いや、見送るんじゃなくて止めてほしいんだけど。
「先輩、また後で!」
そう言った瞬間、京介の私の腕を掴む力が強くなった。
「なんなの!!本当に!!」
京介に屋上に引っ張っていかれたところで、私は腕を振り払った。
「私が何かしたんなら謝るけど、言ってくれないとわからないよ。」
「……。」
何か言ったように聞こえたけど、小さすぎて聞き取れなかった。
「何?」
「お前、倉間先輩とどんな関係なんだ?」
え、いきなりどうしたの。
私はたぶん意味がわからない、というような顔をしていると思う。
「だから、付き合ってんのかって聞いてんだよ!!」
えぇぇぇぇ……
いやだからどうやったらこの質問出て来るの?
というかなんか怖いんだけど。
睨まれてるし……
「えーと、何でそんなこと聞くのかわかんないけどさ……付き合ってないよ。」
心なしか京介の表情が緩んだ。
安堵、したような?
うーん……もしかして……機嫌が悪い原因って……。
「京介。」
「なんだよ。」
「朝から機嫌が悪いのって、昨日私が先輩と二人で帰ったことが原因……なわけないか。」
「……だったら悪いかよ……。」
"しーん…………。"
「え、それだけ?」
「……後はさっき先輩と楽しそうに話していたことだ。」
楽しそうだったか?
普通に話していたのだけれど……
というより剣城が話してくれないのが悪いんじゃないかと。
「うん、意味がわからない。」
「解れよ!」
「わかんないよ!別に私が誰と仲良くしようが京介とは関係ないでしょ!」
何なんだ。
そんなことで機嫌悪くされても困るよ。
「俺が嫌なんだよ!」
「なんで!」
「好きだからに決まってんだろ!」
「え……?」
言葉に詰まった。
「誰のことが?」
「お前以外に誰がいるんだ。」
目の前には飽きれ顔でため息をつく京介がいる。
「……からかわないでよ。」
「からかってなんかねーよ……本気だ。」
言っておいてなんだけど、わかるよそれぐらい。
目が本気だから。
「……気付かなくてごめん。」
「全くだ。」
「……でも京介だって人のこと言えないよ?」
「は?」
私は意地悪な笑みを浮かべる。
「私、京介のこと初めて会った時から好きだったしさ。」
「なっ……。」
あぁ、やっぱり知らなかったんだ。
結構頑張ってたんだけど。
メアド聞いたり、積極的に話しかけてみたりね。
「大好きだよ、京介。」
「それ狡いだろ。」
お互い微笑む。
「俺と付き合ってくれるか?」
「もちろん。」
長いようで短いような私の片思いは終わった。
両想いでもお互い気付かないこともあるんだ。
一歩踏み出す勇気は私にはなかったけど、彼が踏み出してくれて……。
これからもよろしくね。
ありがとう、京介。
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