novel【BL】 確かな温もり(XS) 8年間毎日毎日、飽きもせずに暗く閉ざされた地下室に足を運んだ。そう、我主であり恋人でもあるザンザスが眠るそこに。 冷たく厚い氷に閉じ込められている。温もりを感じることの出来ないその頬に自らの頬を寄せる。まるで自らの熱でその氷を溶かそうとするように。 愛しそうに触れながら語りかける。言葉が返ってくることは無いと分かっていながら、自分の言葉だけがしんと静まりかえった部屋に響いたことに、虚しさが込み上げた。 「早く起きてくれよ…」 今俺はザンザスのベットに抱きしめられる形で横になっている。 そっと右手でザンザスの左頬に触れた。あったけぇ。 伝わってくる温もりが俺はここに居る、とでも言うかのように主の存在を知らせてくれる。 温もりを感じられることが何よりも幸せだった。 今は確かに感じる。 永年待ち焦がれた、愛しい主の温もり。 End [*前へ][次へ#] [戻る] |