つまるところ、首ったけ(川上)


大好きな人ができました。


「好きです!付き合って下さい」

「……」


私の告白に、少し頬を赤らめて呆れたようにため息をつくその人。

大大大好きな、川上先輩です。



一日一回はこういう風に告白するのが私の習慣になっていて。
その返し方は決まってこう。
「わかったわかった。ありがとな」
って、私の頭をポンポンってしてくれる。

はじめは丁寧に断られたもんだけど、今じゃ軽く受け流される。
それでも私は、これでご機嫌になれるんだ。

周りの友達とかは、「野球部だったら結城先輩か御幸先輩とかがいいよね」なんて言って、川上先輩のよさはあまり分かってくれないけど、まぁ、川上先輩のよさは私だけが知ってればいいかって感じで。

川上先輩のことが好きすぎて、友達に「川上病」と診断された。


「川上先輩、私、川上病に感染してるんです」
「は?川上病?」
「はい。でも大丈夫です!川上先輩にチューしてもらえれば治りますから。ってことで応急処置を…」

「……俺、今から練習だから」
「あっ逃げないでくださいよー。あたしも練習見に行きます」
「いいよ、来なくて」
「えー」
「この前の練習試合のときみたいに恥ずかしいことされたら困るし」


この前の…?あぁ、あれか。
『I LOVE 川上』と書いた旗を持って部長と一緒にキャーキャー応援して周りの注目浴びたことか。
あの時の川上先輩の顔、真っ赤になってて可愛かったなぁ。

「大丈夫です!私全然恥ずかしくないので」
「あのね、佐々木さんは大丈夫でも俺の立場がよくないの。あんなことするんだったらもう来ないでね」
「ぶー」
「拗ねてもダメだよ」
「だって川上先輩のこと好きなんですもん」
「…理由になってないよ」
「好きです!大好きです!!」
「あー分かった、分かったから」
「好き!」
「うん、俺も好きだか、ら…」
「え…っ」



い、今なんて言った…?
予想がけない答えが返ってきたような…。

川上先輩が、赤くなって手で口を抑えている。


「先輩、今、好きって…」
「…」


言った…言った、よね?
聞き間違いじゃないよね?

期待で鼓動が高鳴るまま、川上先輩をじっと見る。


川上先輩は、目をそらしたまま

「……………うん、そーゆうことだよ」って。


「…あんな馬鹿みたいに俺を応援してくれるの、佐々木さんぐらいしかいないし。これからもずっと応援してほしいと思ってる」

「…川上先輩……」


川上先輩の顔は、もっと赤くなってきて。


「……じゃ、練習終わった後でね」

「あ、待って!」

逃げるように去ろうとする川上先輩を引き止めた。


「なに?」

「うん、晴れて恋人になったわけですから」

「?」

「……いってらっしゃいのチューを…」

「しないよ!」


ここ皆が見てるんだからって、照れてる先輩が愛しくてたまらない。




「……先輩!大好きです」
「…うん」


川上病は、もっと悪化してしまったようだ。




つまるところ、首ったけ



(部長と相談してもっと川上専用応援グッズ増やそう。例えば川上等身大抱きまくらとか…)

(それはやめて)



*川上病に感染しました。
ノリ先輩の妄想が止まらない…!!長編にしたい…!!
抱きまくらは応援グッズじゃなくてただ単に欲しいだけってゆーツッコミね。

title:おやすみパンチ


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あきゅろす。
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