ずっと(楠木)
1年の4月。入学式。
桜舞い散るなか、友達とじゃれあう楠木くんの笑顔に一目惚れした。
2年。憧れの楠木くんと同じクラスになれた。話しかけてもらって友達になれた。でもそれ以上特に進展はなかった。
そして、3年の3月。
現在にいたる。
「…で?」
「え、」
「今どうなってんの?」
友達にざっくり聞かれて、
少し答えに戸惑う。
「どうって…出会ったときより大好きが増した」
「よかったね。…じゃなくて!!今のアンタと楠木くんの関係性よ」
「か、関係性って。なんにもないよ!友達と思ってもらえてれば幸いって感じ」
「なにそれ」
あ、この目。呆られてる。
「今まで一回でも自分からアピールしたことある?」
「…ないです。話すだけで精一杯です」
「デートしたことは?」
「で、できるわけないよ!」
周りの女子みたいに積極的になれたらいいなとは思うけど、でも楠木くんと私って世界が違うっていうか…、2年のときも楠木くんから話しかけてもらったから喋れたけど自分から話しかけるなんて中々できなかったし…
グチグチ、グチグチと呟いてると「あー重い重い!」と怒られた。
「あのね、もう3月なの。もうすぐ卒業するんだよ?3年間の片思いを何もしないで終わらせていいの!?」
「………だって、今更どうしようもないじゃん」
「だから!卒業シーズンを利用して告白すればいいじゃん」
「告っ…」
誰が?私が?誰に?楠木くんに?なんの?愛の? 告 白 …
「ムリムリムリムリ!」
そんなの、絶対フラレるに決まってるじゃん!特別仲がいいわけでもないのに。クラスメイトだったから話してもらえました程度なのに。私のことなんて覚えてもらえてるかすら危ういじゃんか!
「…でもしないと後悔すると思うけど?」
「いいよ、後悔したって。傷つくよりマシ」
そう断言して、
あっという間にきた卒業式当日
(…あ、)
入場が終わってクラスごとに並んでいる中に、楠木くんの後ろ姿を見つけた。
(かっこいいな…)
見慣れた楠木くんの後ろ姿。
ドキドキして、切なくて。
目が離せない。
この気持ちも全部、今日で最後なんだ…
あぁ、友達が言っていたのはこういうことか。
卒業証書授与が始まって、1組の楠木くんの番はすぐに来た。
舞台に立って名前を呼ばれるのを待つ楠木くん。
正面から見るの、これで最後、かな―…
じっと見ていると、目が合った
(わっ)
反射的にそらしてしまった。
びっくりしたぁ
まさかこっちに気付くなんて。
いや、偶然だろうけどさ
『―…楠木、文哉』
「はい」
よく通る声の返事が聞こえて
卒業証書を受けとる楠木くんにやっと目を戻せる
後ろ姿は見れるのに、な…
久々に目が合って
いまだにドキドキがおさまらない。
どんだけ恋愛奥手なんだ私は。
『―…咲田、唯』
自分の名前を呼ばれてはっとした。いつの間にか私の番か。
「はい」小さく返事をしたとき無意識に楠木くんを見たらまた目が合って。
(うあぁぁ楠木くんに見られてるっ//)
意識しながら受けとって、
舞台から降りるとき、また、目が合った。
今日はよく目が合うな…
神様からのささやかな卒業祝い?なんて浮かれながら式は終わった。
どうやら、ほんとに今日は神に恵まれた日みたい。
「………咲田!」
友達と別れをすませて帰ろうとしたら
大好き人が私の名前を呼んで、私に駆け寄る。
「ど、どうしたの?」
「うん、ちょっと話があって。…………なんか、喋るの超久しぶりな!」
「そ、そうだね」
いつもの優しい笑顔がすぐ近くにある。
心臓が破裂しそうだ。
「…あのさ、…………さっき、式のとき。目が合ったって思ったの、俺だけ?」
「え、」
「勘違いのままだったら恥ずかしいから、一応確認しときたくて」
「それは…」
ダメだ。そんな言い方されたら私が勘違いしてしまう。期待しちゃダメだ。
ふと、目を下ろして気付いた
(…楠木くんのブレザーのボタン、なくなってる)
みんなもらわれたのか。そりゃそうだ。モテるんだから。
別に欲しかったわけじゃない。…はずなのに、なんか、ショックを受けてる自分がいる
「……………やっぱり、違った?」
「えっ…」
「他の奴だったんだな…。
ごめん、言いにくいこと聞いたな。ごめんな?」
そう、少し笑って去ってゆく楠木くんの姿につい
「…っわ、私が楠木くん以外の人を見るわけないよ!」
思いが、溢れでた。
「ずっと…楠木くんだけを見てきたんだから…」
「…それって、俺のいいようにとらえていいの?」
楠木くんがまっすぐな瞳でわたしを見る
「俺もずっと、咲田のこと見てた。1年ときから気になってて、それからずっと、咲田が好きだ」
「…うそ……」
「ほんとだよ。1年とき、なんかよく目にとまって気になって。どんな子なのかなって見てたら、少し大人しいけど、優しくていい子で、でもちょっとドジなとこもあって(笑)。いつの間にか好きになってた。
だから、2年で同じクラスになれたのがすげぇ嬉しくて、いっぱい話しかけたけど、
…咲田からはあんま話しかけてくれなかったし、3年になってすれ違うたび目そらされるから嫌われてると思って、話しかけるのもやめて諦めようとした。
でも今日、式のとき目が合って、…やっぱり諦めきれてなかった。咲田が好きだ」
楠木くんが、私と同じ気持ちを言った。
信じられない…
夢じゃないの?
「…私も、楠木くんがずっと好きです」
いっぱいいっぱいになりながら伝えたら、急に楠木くんがしゃがみこんで。
「あー…すげぇ嬉しい」
って。
顔を赤くして、「なんか照れんね」って私の顔を見上げて笑った。
可愛いなぁ。
そして、「そうだ」と言いながらポケットに手をつっこんで
「コレ、貰ってくれる?」
「………!」
手に渡されたのは
野球部のユニフォームのボタン。
「第2ボタンって、好きな子にあげるんでしょ?咲田以外にはあげられないから、とってた」
へへっと笑う、その笑顔が大好きなこと、楠木くんは知っているのかな?
「―…すごい、嬉しい」
思わず私も笑顔になって
そしたら、楠木くんに抱きしめられた。
やっと繋がった、二人の思い。
「大好きだ」
ずっと
(今までも、これからも。)
*楠木先輩フィーバー中☆←
ちくしょ、この爽やかめ…!!
好き!!
爽やかな話を書きたいと思って書いてたら君に〇けになった…
ごめんなさいほんとに!悪気はないの!!
まぁ似てないよ…ね?
しかし今でも第2ボタンとかやってるもんなの?現役なのに分からない。うちの高校私服やしな。古かったらドントマインド精神で!
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