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d-Style[小説]
【証拠】
 やりきれない思いは日に日に募りゆき、遂に私は怪しまれながらもDの連絡先を訊いてみることにした。今
日どれほど怪しまれようが、明日になればその理解しきれない行動の全てもDの仕業に変わるのだから、それ
程気にすることでもなかった。
 そして、私は更に衝撃の事実を知るのであった。嫌々口を開いた友人が教えてくれたDの電話番号は紛れも
なく私の携帯の番号その物だったのだ。すかさず私は彼に「それは私の番号だ」と突っ込むと、「おかしいな?」
と言うばかりで、彼も不思議がるのだった。
 やはり、Dという人物は紛れもなく私自身であった。それはこの電話番号が証明してくれている。しかし
「私とDは同一人物なのではないか?」と訊ねた所で、誰もが大笑いをしながら「何を馬鹿げたことを…」と
否定するのであった。
 実際、これだけの証拠があるのだから、と強気に相手を問いつめても、相手にしてみれば証拠はこの「電話
番号の一致」のみで、仕舞いには「冗談や悪戯に付き合っている時間はない」と怒り出すだけだった。確かに、
そんな訳の解らないことで問いつめられてもいい迷惑である。私がこの不思議な現実を理解できないように、
彼らもこの不思議な現実を理解できないのは当然のことだ。そして、そんな不思議な現実には深入りしない方
が利口だ。私は抵抗も出来ず立ちつくすのみだった。

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あきゅろす。
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