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東方時空録
『第二録…図書館のある紅魔館へ/前編』
 真っ赤な外壁――まるで血染めの様な赤い壁――は、漆黒の夜空に浮かぶ“紅き月”の日を浴びて、元々の色よりも更に赤々と見える。辺りはもう薄暗く、こんな時間帯に訪問者が来る筈もなかった。
 赤きお屋敷――紅魔館の門番である“紅 美鈴”は、何の躊躇いもなく地べたに胡座をかき、うたた寝をしていた。門番としての役割を全く果たしてないのは、端から見ても明らかである。
 そんな長閑な闇夜の虚空に、人一人分程度の“切れ目”が音も無しに出来上がった。その切れ目からは、青白く輝く刃の切っ先が覗いていた――





〜第二録…図書館のある紅魔館へ/前編〜





 日がだんだんと暮れ始め、闇と静寂が支配する夜になるほんの数時間前――
 秋葉の放った弾幕により、木々は切り倒され、地は無惨にも抉れていた。スペルカード初使用であるが、まさかこれ程までの範囲に及ぶとは考えてなかった様だ。
 秋葉はその場から一歩も動けずに、ただオロオロするしかなかった。しかし、先程来た魔理沙は、この光景を見ても平然としている。


「ま、魔理沙、スペルカードって凄いんだね。ははは、は……」


「飛ぶ斬撃の弾幕か。さしずめ、“かまいたち”ってとこか?」


「そんな冷静に分析しないで〜」


 どうやら、家の窓から見物がてら覗いていたらしく、どんな弾幕かを冷静に分析。景色が一瞬にして様変わりしたのに、落ち着いていられるのは、恐らく慣れてるからなのだろう。
 しかし、秋葉は慣れてはない。所謂、“弾幕初心者”である。――が、実戦経験は豊富なので、弾幕に慣れれば問題はない筈だ。……慣れれば、の話だが。


「まぁ、慣れればどうって事ないぜ?」


「正直、あまり慣れたくないんですけど……」


「最初は皆そんなもんだ。さ、まだ一枚しか試してないんだろ? ちゃちゃっと試しちまおうぜ?」


「え、遠慮しておきます!!」


 両手と頭を左右にブンブン振った後、一目散にその場から逃げ出した。――しかし、秋葉の作ったスペルが見たくて仕方がない魔理沙は、瞬時に箒に跨り逃げ出した秋葉を追い掛け行く。
 二人だけの鬼ごっこは、日が暮れるまで続き、最終的には泣きながら魔理沙の前に出て行く秋葉だった――
 結局、五枚全部のスペルを試し終えたのは、それから一時間後である。その間に薙ぎ倒した木の数は、数十を越えたとか越えなかったとか……


「どうだ秋葉、もう慣れてきたんじゃないか?」


「……もう、好きにして……」


「いや、何言ってんだよ」


 これが俗に言う“拗ねる”なのだろう。……いや、どちらかと言うと投げやりな感じもするが。取り敢えず、自暴自棄とも言えるだろう。
 しかし、これから先の事を考えると、拗ねてる場合ではないのは事実。何の為に魔理沙がスペルカードを所持しているのか? 何の為に誰かを傷付ける様な力を持っているのか?
 まぁ、魔理沙もそれらしい事言っていたようだが、この世界――幻想郷に居る限り、自身の身に危険が及ぶからなのだろう。その危険を自力で回避、または蹴散らす為に“スペルカード”が存在するんだ。と、秋葉は戸惑いつつも自分自身へそう言い聞かせる。
 もう、迷う事は許されない。この幻想郷に辿り着いた時点で――


「――葉? おい秋葉、聞いてるのか?」


「んぇ? 何?」


(……上の空だったのか)
「もう一度聞くが、これから紅魔館に行くんだろ?」


「うん。そのつもりだけど?」


「紅魔館まで一人で行く気か? なんなら、私が連れていってやるけど」


「いや、大丈夫だと思うよ。そこまでお世話になるにはいかないからね」


「……そうか」


 しかし、幻ヒットした。ゴンッと鈍い音が辺りに響く。その時に、秋葉の意識が落ちたのは言うまでもない……




−あとがき−(言い訳

まず先に、更新遅くて済みません(-ω-;)
それに文章が可笑しくて(ry ペコペコ

えっと、本当は一話で紅魔館に突撃させる予定でしたが、あまりにも長すぎたので分けました。
一応、前編と後編に分けるつもりです。

まぁ、長くはならないと思いますが。
因みに、第二録はメモ帳にして6枚とちょっとの量です。

大体、この長さで書いていきます(もしかしたら長くなるかも)
では、次回をお楽しみに♪(見る方居るのかな??






‡*綻びへ‡‡狭間へ#‡
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あきゅろす。
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