東方時空録
『第五録…追われる魔法使いと追う魔女』
暗い暗い森の中、一人の魔法使い――“霧雨 魔理沙”が箒に跨り疾駆していく。かなりの低空飛行だ。一歩間違えば、怪我だけでは済まないだろう。しかし、そうでもしないといけない理由があるのだ。
「くそっ! 一体何なんだよ!」
魔理沙の表情には、かなりの焦りが見えていた。冷や汗が額を流れていく。拭えども拭えども、止まる事を知らなかった。
度々後ろを振り返る。どうやら何者かに追われている様だ。よくよく見ると、魔理沙の服は“何か”に引き裂かれた様な跡がある。
後ろに誰も居ない事を確認し、木の陰へと隠れる。時々顔をちょっとだけ出し、本当に誰も追ってこないかを見る。
静かな魔法の森。風が吹き抜ける度に、葉が擦れる音だけが聞こえてくる。他に物音は聞こえてこない。
「こ、此処まで来れば大丈夫か?」
「――魔理沙」
「っ!? ……い、いつの間に私の後ろに来たんだよ」
「あら、初めから居たわよ? ずっと、魔理沙の後ろに……フフフ」
ジリジリと後退りする魔理沙。息遣いが一瞬にして荒くなる。冷や汗も更に量を増す。
「なぁ、本当に何が目的なんだ? ……“アリス”」
「大した目的じゃないわ。魔理沙が持ってる“ある本”を渡してくれれば良いだけ。本当にこれだけよ」
「わ、私はお前から本を借りた覚えはないぜ?」
「そうでしょうね。貸した本じゃないもの」
「……何?」
アリスの発言に、怪訝した表情を作る魔理沙。無理もない。貸してもない本を渡せと言っているのだから。
「だから、渡してくれない? 帽子の中にある“施錠された黒い本”を」
(おいおい、何でこの本の事を? 私は誰にも言ったつもりはないんだが)
「……嫌だと言ったら、やっぱり力ずくで奪い取るのか?」
「えぇ、そのつもりよ。今渡せば何もしな――」
「逃げるが勝ちなんだぜ!」
アリスが言い終える前に、魔理沙は一目散にその場から逃げ出した。逃げ足なら誰にも負けない――そう自信があるからこその行動だ。
どんどん小さくなっていく魔理沙を眺めるアリス。その表情には焦りどころか、満面の笑みが浮かんでいた。
「フフフ、貴女は私から“逃げられない”のにね。……私が“鬼”で“獲物”が貴女――さぁ」
楽しい楽しい鬼ごっこの始まりよ
森に木霊するアリスの高笑い。狂気に満ち溢れた感情。最早躊躇いは何処にもない。奪うと決めたら、どんな手段を使ってでも奪い取る。例えそれが……相手を殺してでも――
アリスの瞳に、光は宿って無かった。所謂レ〇プ目。
「――上海、行きなさい」
「シャンハーイ」
上海――上海人形と言うアリスがよく使う人形――に命令した。既に魔法の森には、かなりの数の上海人形を設置している。まさにトラップ地獄とも言えるだろう。この包囲網から、魔理沙はどの様にして脱出するのだろうか?
「いつまで逃げきれるかしら? ねぇ、魔理沙?」
アリスが次に行動した時には、既にその場には居なかった。落ち葉の動きで予想は――いや、元からの動機で何処に行ったか分かる。鬼ごっこの火蓋は切って落とされた……
アナタ方には聞こえるだろうか……?
一人の魔女の狂気に満ち溢れた高笑いが……
「フフフ、アッハハハハハハハハハハハ!」
一人の魔法使いの拒絶と恐怖による絶叫が……
「こ、こっちに来るな! う、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして……
動き始めた歯車の噛み合う音が――
ーあとがきー
案の定、五話が先に完成しちゃったんだZEww
クオリティは四話と同じ。
スランプ(?)時に書くと幼稚って感じの文になっちゃうね(汗
……いや、常に幼稚っぽい文かww(中二病患者
この話では魔理沙がアリスに襲われましたね(性的な意味で
目的は禁書目録(インデックス)……果たして何の為に奪おうとしたのか!?
続きはWebで!!(ぁ
ではでは、第三章の第一録のあとがきでまたお会いしましょう(´ω`)ノシ
‡*綻びへ‡
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