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お前の為に愛を囁こう



「副長って本当に俺のこと好きなんですか?」


…言ってから後悔した。
目の前に居る副長があまりに不機嫌そうな顔をしたから。

副長の性格はよく分かってるつもりだし、声に出して「好き」と言わないのは副長の性に合わない…というか、副長が極度の意地っ張りな照れ屋さんだからだ。(そんなこと本人に言ったらボコボコにされるから絶対言えないけど。)

それでもやっぱり不安になるじゃないか。ただでさえ俺は副長の隣に居ていいのかと日々自問自答を繰り返しているのだから。
一度でも副長に愛を囁いてもらえればそんなこと考えずに済むのに……なんて、自分のこの乙女的思考に嫌気がさすのだけれど。

そんなことを悶々と考えていると何を思い立ったのか、副長が胡座をかいてドカッっと座り、自分の膝の上に座るようにと目で促してきた。
大人しく副長に背を向けるようにちょこん、と座ると後ろから強く抱きしめられ、どうしていいのか分からず固まってしまう。

「ふ、副長…?」

体勢的に相手の表情を読み取ることが出来ないので、今副長が何を考えているのかなんてさっぱり分からない。
すると副長の腕がスルリと服の中に入ってきた。
突然のことに思わず体が反応してしまう。

「分かんねぇってんなら体の奥まで愛してやろうか?」

腰に響くような声でそんな言葉を囁かれてしまえば、もう俺に拒否権なんてない。否、彼を受け入れない理由などないのだが。
現に今俺はこんなにも副長の愛を欲しているのだから。

振り向いてキスをせがむと優しく口付けされる。唇から伝わる体温が心地良くて、でもそれだけじゃ物足りなくて舌を絡めようとすると、途端に副長に主導権を握られてしまった。
舌を絡め取られ、苦しくなるくらいに喉の奥を突かれると気持ち良くて体中の力が抜けてしまう。
俺はそのまま素直に副長に体を委ねた。





「ッ…あ、…んっ」
「もうこんなに濡らして…俺に抱かれんの期待してたのか?」
「ひぁ…っ、ちが、っ…い、ます…」
「んだよ、素直じゃねぇな…」

ピンッ、と自身を弾かれると既にそれを濡らしている先走りが下腹部に飛び散る。

「ん、あぁっ…!…ふくちょ…っ」
「…退、名前」
「っあ…ひじか、た…さ、ん…っ!」

普段呼び慣れないその名前を呼ぶのは変に気恥ずかしくて、体温が上がっていくのが分かった。
それでも、唯一お互いの名前を呼び合えるこの甘い時間が俺は大好きで。

「はぁ、っ…土方さ…早、く…っ」
「そんなにイきてぇんなら先イっとくか?」

それまで自身を包み込んでいた土方さんの手の動きが急に速まる。

「やっ、あぁ…っ!」

突然の強い刺激にいやいや、と首を横に振ると少しだけスピードが緩んだ。

「んだよ、イきたくねーの?」
「ひじ、か…たさんと、一緒に、イきた…いで、す…っ」
「ふーん…随分可愛いこと言うじゃねぇか」

満足そうな笑みを浮かべて自身から手を離し、今度は俺の股間に顔を埋めて固く閉ざされた蕾に舌を押し当ててくる。

「はぁ…っ、ん、っ」

指も使ってゆっくりと解され、既に何度か土方さんを受け入れたことのあるそこは次に与えられる快感に期待して収縮を繰り返した。

「んな物欲しそうにしなくてもすぐ挿れてやるよ…」

土方さんの熱いものが宛がわれると、俺も我慢の限界で微かに腰を揺らしてしまう。
丁寧にならされたそこは何の痛みも伴わず、すんなりと土方さんを受け入れていった。
熱くて固いそれが、ゆっくりと内壁を擦っていくのが堪らなく気持ち良くて、俺自身は悦んで涙を零す。

「はぁ、ん…あぁっ!やっ、イっちゃ…!」

限界が近付いた途端、突然鋭い痛みが走った。

「い…ぁ…ッ!」
「俺と一緒にイきてぇんだろ…?」

目線を下腹部にやると、土方さんの手がしっかりと俺自身の根元を握りしめていて、イけないようにされている。

「ふ、ぁ…っ、この…変態…っ!」
「変態で結構。」

開き直って妖しく笑うと、土方さんは自身を握ったままお構いなしにガンガンと突き始めた。

「い、ぁああっ!ひ、ぅ…っ!やらぁ…っ!」

強い刺激に、吐き出せない欲に、頭の芯が痺れておかしくなりそうになる。
握られているにも関わらず俺自身はだらだらと涙を零し続けた。

「ハァ…ッ締め付け、すげぇ…っ」
「や、あ、あぁ…っ!」

イイとこばかりを突かれて、本当にどうにかなってしまうんじゃないかと思った。
少しでも快感を逃がす為に腰を揺らし、ひたすら声を上げ続ける。
そんな自分が堪らなく嫌だったけど、もうどうすることも出来なかった。

「んな、腰振んな…っ、イっちまうだろ…が…っ!」

奥を一際強く突いて土方さんが俺の中に欲を吐き出すのと同時に、握られていた自身が開放された。

「ぁあああっ!」

それまで我慢していた欲が一気に溢れ出し、感じたことがないほどの快楽が体中を駆け巡る。

「ふ、ぁああ…っ!ひじ…か…た、さ…」

愛しい人の名前を呼びながら、俺の意識は次第に遠退いていった。








「だーかーらー、んな怒んなって」
「アレだけやっといてよくそんなことが言えますね!ガンガンガンガン人の体突いて!アンタは発情期の犬かァアア!!」
「お前が可愛いこと言うからだろ?」

そう言って俺の頬を撫でる土方さんの大きな手が妙に優しくて、怒る気なんて失せてしまった。

でもこのまま引き下がるのはなんだか癪だったので、土方さんの馬鹿、と小さく呟いてから相手の胸板に顔を埋めた。
土方さんは暫く俺の頭を優しく撫でてくれて、それから耳元で甘い声で俺の名前を囁いた。

卑怯だ…
結局いつも俺はこの人に何をされても許さないといけなくなる。
土方さんになら何されてもいい、だなんて俺も大概終わってる。

でも、俺に触れる土方さんの優しい指先とか、俺を見つめる瞳とか、甘いキスをくれるその唇とか、言葉にしない分だけの愛が沢山詰まってるような気がして…


結局、俺はこの人に愛されてる。














*あとがき*
…あれ?
なんかもっとこう全身で愛を捧げる優しい土方さんを書くつもりだったのに…土方ただの変態じゃねぇかァアアア!!!

まぁこれもこれでありなのかな

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あきゅろす。
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