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大事な従姉妹
「でも、彼女も可愛いんじゃないか? ほら、レヴィの従姉妹の子」

「ロッテが可愛いのは当たり前だからな」

 シェイトが思い出したように言えば、何故か力説された。レヴィウスの従姉妹であるシャルロッテもお嬢様らしいし、整った顔立ちをしている。あと数年もすればとても美しい女性になるだろう。
 すると、何を思ったのか、彼はわなわなと体を震わせ、こちらを睨み付けてくるではないか。

「まさかシェイト、ロッテにも手を出すつもりなんだな……! 節操なし! オレはお前を見損なった」

「……どうしてそうなる。それに、も、とは何だ。節操なしなんてお前にだけは言われたくない」

 レヴィウスの想像力には呆れるしかない。どこをどうすればそんな答えに行きつくのか。半分は冗談だろうが、もう半分は不明である。
 この言い方では、まるでシェイトがとんでもない男のようだ。それに彼にだけは言われたくない。

 誰にでも愛想を振り撒いている訳ではないし、レヴィウスのように初対面の女性にかしずいたりもしない。彼が節操なしではないのは分かっているが、シェイトだって違う。

「ふーん……。レヴィはあの子が大事なんだな。近いようでいて、異性には一歩引いたお前が」

 ふざけているようにも聞こえるが、シェイトには分かる。レヴィウスは女性に親切で優しいが、一歩引いているところがあった。単純な距離ではなく、心と言った方がいいだろうか。
 単なる従姉妹、だけではない気がする。これでもレヴィウスとは結構な時間を過ごしているのだ。

 シャルロッテと話す時、彼はとても楽しそうで。家族やシェイトたちと接する時と何かが違う。悪い意味ではなく、いい意味で。
 黙ったままのレヴィウスを窺えば、珍しく答えに困っているらしい。

「……大事。そりゃ、まあ、大事な従姉妹だけど。あれだ。悪い虫がついたら大変だし」

「ミュレイゼル家の息女に言い寄る馬鹿……いや、猛者はいないと思うけど。レヴィもいるし」

 学園に貴族の出は殆どいない。零ではないが、限りなく少ないと言えるだろう。レヴィウスやシャルロッテが例外なのだ。
 悪い虫がついたら大変だと彼は言うが、早々そんな輩はいないだろう。四大貴族は格が違い過ぎる上にレヴィウスがいるのだから。流石に彼を敵に回したくはない。



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あきゅろす。
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