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種明かし
「あぁ、本当に久しぶりだね。でも、今日はわざわざ旧交を深めに来た訳では無いんだろう? 火属性上級魔術、レヴァン・テイン。これも君の仕業かい?」

クリスはリデルを一瞥したまま、眼前の炎を指差した。赤とも橙とも言える炎は時が経つにつれ、禍々しい黒へと色を変えて行く。

「そうよ。まあ、探し物は見付からなかったけど」

「そのために態々パワースポットまで封じるなんてね」

精霊因子は、大地を走る大きな力の流れ、レイライン(霊脈と言っても良いだろう)の交差する場所――パワースポットから生まれ出でる。
逆に言えば、そこさえ封じてしまえば一度大きな魔術を使っただけでも簡単に大気中の精霊因子は枯渇する。
とは言ってもパワースポットを完全に封じる事は出来る筈が無い。大きな力の流れをたかが一人の人間如きの力で封印しよう等愚かにも程がある。そもそも天才など関係なく人の許容量では不可能なのだ。

「私でも一人では無理だったわ。ルシアに手伝ってもらわなきゃね」

「《エレメント・ディスターブ》もかい?」

険しい表情を保ったままクリスは問う。

「何もかもお見通しなのね。正解よ」

《エレメント・ディスターブ》とは精霊因子を吸収し、集束を疎外する効果のある魔具である。いくら上級魔術を使ったとしても急激に因子が減少する状況にはならない。
エレメント・ディスターブの精霊因子を吸収する力はけして高いとは言えないが、もとから減少した状態で使えば十分な脅威となり得るだろう。そう、中級魔術すら構成不可能な程に。

リデルは学園の周りにある結界装置を破壊し、力を反転させ、エレメント・ディスターブと同じ効果を発生させた。結界から漏れ出た大量の魔力と精霊因子は魔獣を引き寄せてしまった。魔獣は高い魔力や濃密な精霊因子に惹かれるとされる。まるでそれは光に群がる蛾の如く。

「単刀直入に聞くわ。クリス、私と一緒に来ない?」



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