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再会、思わぬ来訪者
魔術の発動を視認したクリスの行動は早かった。彼は右耳に付けていたスピネルのピアスを外し、副学長の名を呟く。

「アレイスター」

すると、クリスの掌にあるスピネルが淡く輝き、半透明だが正真正銘アレイスターの姿を写し出した。
この宝石は《コネクト・ジュエル》と呼ばれる魔具で、名前を呼ぶ事で相手の宝石とリンクし会話が可能となる。音声だけでなく、映像まで出力出来る優れ物だ。
もちろんそれなりに値は張るし、貴重な物なので中々手に入らない。

「お前は他の教師を連れ生徒たちを避難させろ。同時に魔獣の気配も感じた。殲滅はお前とユーウェインが居れば事足りるだろう」


そこには先程の雰囲気など欠片もない。冷静に、的確に指示を出す彼を先程のクリスと結び付ける事が誰が出来よう。

『はっ! 炎はどうされますか?』

「何とかしよう。私も直ぐに行く。それまでは頼む」

『お任せを』

クリスはアレイスターの返事を聞くと宝石の接続を切り、ピアスを耳に付ける。そして不愉快そうに目を細め、ため息をついた。

「盗み聞きとは感心しないね。一体僕に何の用だい?」

「くすくす……相変わらずね」

笑い声と共に現れたのは、絹糸を思わせる艶やかな黒曜石の黒髪に、吸い込まれそうな程に美しい黄金色の瞳の女性。

「君は……リデル」

「久しぶり、かしら。ねぇ、クリス」

驚愕の表情を浮かべるクリスに黒髪の女性――リデル・メイザースは懐かしむように微笑み掛けた。



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あきゅろす。
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