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自らが為すべき事
「ミリアム、生徒たちの避難を。ユーウェイン、私に続け!」

アレイスターは、飛び掛かって来たヘルハウンドを一刀のもとに斬り伏せると、瞬時に共に来た二人の教師に命令を与える。

「了解です」

「はいっ! さあ皆、私に着いてきて!」

ミリアムの声に堰を切ったように駆け出す生徒たち。

「しっかりして、フィア! 私たちも行こう!」

「う、うん!」

アリアは呆然とするフィアを叱咤し、他の生徒と共に駆け出した。

『やっぱり……大気中の精霊因子が少なすぎる。一体何が……』

プロの魔導師であるアレイスターやユーウェインは兎も角、他の生徒は状況が状況だけに気付いていないかもしれないが、明らかに大気中に漂う精霊因子が少ない。
理由が分からないが、これではあの炎を消す魔術等とても使えない。魔術は精霊因子の密度で全てが決まる。下級や上級と呼ばれる魔術は、構成する因子の密度の違いだ。

魔術は無から有を生み出す訳ではない。下級魔術で上級魔術を打ち消す事は物理的に不可能。アリアに出来るのは避難する事だけだった。

校舎や学生寮には強固な防御魔術が掛けられているため、多少の炎や魔術にはびくともしない。例えそれが上級に属する魔術だとしても、だ。

『私は間違っていない……今は逃げる事が正しいんだ。本当にこれで、私は、私は良いの……?』

ミリアムの誘導に従いながらもアリアはずっと自問し続けた。その間にも炎は更に勢いを増し、収まる気配は毛頭ない。

『私はどうすれば良い……?』

その時、人混みの中から聞き覚えのある声が二人を呼んだ。

「フィア! アリアさん!」



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あきゅろす。
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