善は急げと言うけれど
「まだ試合まで時間あるけどどうする?」
「んー……そう言えばマリウスは?」
何時もフィアの隣にいるマリウスの姿がない。
「レティスと一緒にオークス先輩とセレスタイン先輩の試合を見学するって」
1-Aの代表者はアリアとフィアナの二人だが、2-Aはシェイトとレヴィウスらしい。
シェイトは勿論、レヴィウスの魔導師としての才も非凡なもので、特に火の精霊因子を操る力は頭一つ以上抜きん出ていると言える。
「ね、私たちも行かない? 是非とも先輩たちの雄姿を拝まなきゃね!」
紫水晶の瞳をキラキラと輝かせ満面の笑みを浮かべる彼女を見て、アリアは諦めたように遠くを見た。
「ちょっと遠いけど、どうしても?」
アリアたちが今居る場所は一年校舎のちょうど裏手に当たる。ちなみにシェイトたち二年年の試合場は、少し離れた学生寮の近くになる。
「もっちろん。善は急げって言うでしょ」
「……急がば回れとも言うけどね」
「ま、どっちでもいいや」
アリアは最後の抵抗を込めた皮肉を言ってみるが、フィアナの耳には届かなかった。
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