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仲良し三人
「いやぁ〜、何て言うかさぁ。俺の身近な人って皆こんな感じだったから……」

若干言葉を濁しながら、アイドは困ったように髪をかき回した。アイドの周囲にいた男と言えば、女性に対して今のアイドやレヴィウスのような態度ばかり取っていた。
そんな大人を見て育った結果、アイドの意図とは別に女好きな言動になってしまったのである。

女性が苦手なのに関わらず。学園に入学するまでこれが普通だと思っていたのだ。しかし気付いても、長年染み付いたものは中々抜けない。
自分の意思とは無関係に、反射的に女性を口説いてしまうのだ。

「つまり、レヴィだらけってことだな」

「素敵ですわ……」

納得したように頷くシェイトに、その光景を想像したらしいシャルロッテはペリドットの瞳を輝かせている。対してげっそりとしているのはレヴィウスだ。彼にしては悪夢以外の何物でもない。

「止めてくれ。全然笑えないっての」

「それはそれで面白そうですけど」

「いやー、そう? ロッテとアリアちゃんにそう言って貰えるなら俺嬉しいな」

思わず女性を口説くレヴィウスたちを想像したアリアはくすりと笑みを漏らした。そんなアリアとシャルロッテに気を良くしたのか、レヴィウスは照れたように笑う。
そこで何か気付いたらしいレヴィウスは首を傾げると、アイドの方を振り向いた。

「ってか、お前そんなこと全然言わなかっただろ」

「んー……まあね。わざわざ話すこともないじゃない?」

「まあ、深くは突っ込まないけどな。話したい時に話せばいいだろ」

明るく、誰に対しても調子の良い彼はクラスのムードメーカー的な存在なのだが、他人に深く関わらないところがある。それに加え、自分について殆ど話さない。
アイドの気持ちが分からないでもないレヴィウスは無理に聞いたことはなかった。
誰だって他人に知られたくないことはあるし、もしいつか彼が語る気になれば力になりたいと思う。

「流石は俺様の悪友! このぉ、惚れるだろ!」

「頼むから惚れるな! 男はお断りだ、俺は綺麗な女性がいいんだよ!!」

レヴィウスの首に腕を回してがしりと肩を掴むと、アイドはもう片方の手で彼の髪をかき回した。
嫌そうな顔をするレヴィウスなど何のその。
じゃれ合う二人を見てシェイトは呆れ気味に笑い、アリアとシャルロッテは顔を見合わせて笑った。

「また始まったな」

「お二人とも仲いいんですね」

「こら、シェイト! お前も来い!」

「おい、レヴィ! アイドまで!」

シェイトもレヴィウスに引き寄せられ、強制的に巻き込まれる。レヴィウスとアイドの二人に髪をくしゃくしゃにされているシェイトも本心から嫌がっている訳ではない。仲の良い三人にアリアとシャルロッテは我慢出来ずに笑みを漏らしたのだった。



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あきゅろす。
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