レヴィの悪友
アリアの目から見てもレヴィウスは酷く驚いていた。瞬きもせずにシャルロッテを見据えている。
固まったまま何も言わないレヴィウスにシャルロッテの瞳が不安に揺れる。
「わたくしのこと、お忘れになりましたの? レヴィウス様」
「……ロッテ、だよな?」
「はい! お久しぶりです、レヴィウス様」
驚いたようにシャルロッテを見上げるレヴィウス。ロッテ、と愛称で呼ばれた彼女は嬉しそうに笑った。
シャルロッテは“お嬢様”で一見すると少し取っつきづらく見えるが、笑うと雰囲気が変わる。
実は無理をしているのだろうか。
「ミュレイゼルさんが会いたい人って……」
「ええ。レヴィウス様のことですわ」
普通に考えればおかしなことではないだろう。
ミュレイゼル家はセレスタイン家と並ぶ大貴族であるし、確かレヴィウスの母はミュレイゼル家から嫁いだ女性だったはず。
「で、レヴィ。紹介紹介」
「だ・か・ら、お前は異性苦手だろーが。そっちの金髪美少女はアリアちゃん。……で、こっちはロッテ。シャルロッテ・フォン・ミュレイゼル。俺の従姉妹だよ」
異性が苦手なくせに言動が女性好きという厄介な友人に半ば呆れながら、レヴィウスはアリアとシャルロッテを紹介した。
従姉妹ということはレヴィウスの母の兄妹の娘なのだろう。
「初めまして。お嬢さん方。俺様はレヴィの悪友でシェイトの友だち。アイド・ロール。アイド先輩って、呼んでね〜」
よろしくぅ、と片目をつむって笑うアイドは何だかレヴィウスを見ているようだ。ただし、彼の方がかなりはっちゃけているが。
同族嫌悪なのか、はたまた別の何かかレヴィウスはやや不機嫌そうだ。
「誰が悪友だ、誰が」
「だからレヴィってば俺様の扱い酷くない!?」
睨まれたアイドはだから、とレヴィウスに詰め寄る。
そんな二人にアリアは苦笑し、シャルロッテはきょとんとしている。
シェイトはと言えば爽やかな笑みを浮かべて一言。
「似た者同士、だからかな?」
「シェイトまで……」
「で、ロッテがどうしてここに? 留学してただろ」
一人背を向けてのの字を書いているアイドは放っておいて、咳払いをしたレヴィウスは本題を切り出した。
そもそも何故、留学していた彼女がここにいるのか。
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