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当たり前のこと
何というか上級生のクラスに行くのは緊張するものだ。しかしシャルロッテは違うらしい。アリアでも見て分かるくらい嬉しそうだ。
それにしても彼女が“会いたい人”とは一体誰なのだろう。

実は公爵家の血を引くシェイトや、或いは同じ四大公爵家の子息であるレヴィウスか。はたまた別の誰かか。
知りたいような気もしたが聞きづらい。そうこうしている内にアリアたちは2-Aの教室についてしまった。

「そ、その、お礼を言いますわ。ありがとう。お陰で助かりました」

「いえ、そんな。当たり前のことをしただけです」

敬語は使わなくていいと言われたのに、いつの間にか戻っているではないか。そんなアリアを見て少し緊張が解けたのか、シャルロッテははにかむように微笑んだ。

「それで、よろしければ中までついて行って頂けませんか?」

「私で良ければ」

休み時間とは言え、教室には結構な生徒の姿があった。学年を区別するのは腕章に引かれたラインの色である。
一年は紫、二年は青と言ったように一見すれば分かるようになっていた。

そうでなくても、クラスメイトではない生徒の姿は目立つ。それも少女二人だ。囁き声が聞こえた気がするが気にしない。一々気にしてなどいられるか。

アリアたちからすれば教室内の空気を乱したつもりはないのだが、やはり注視されている。
教室内を見回すと、レヴィウスと紫の髪の少年と話すシェイトの姿が目に入った。

彼もアリアに気付いたらしく、小さく手を振ってくれる。それが嬉しくて思わず頬が緩みそうになる自分がいた。
一方、シャルロッテの方は目当ての人物しか目に入っていないらしい。
迷いのない足取りで何とシェイトたちの方に向かう。
彼らの前に立ったシャルロッテは、万感の思いを込めて“彼”の名を呼んだ。

「レヴィウス様」

振り返ったレヴィウスは空色の瞳を見開き、文字通り固まっていた。紫の髪の少年はアリアとシャルロッテを見てずい、と身を乗り出す。
じっと見られていて変な感じがするが、やはりシャルロッテは気にもしていないらしい。

「レヴィ? アリアもどうしたんだ?」

「アリアちゃんって言うんだ。可愛い〜。何だ、シェイトも隅に置けないなあ〜。で、その子は?」

怪訝そうにアリアとレヴィウス、少女を見るシェイト。
そんな彼とアリア、シャルロッテを見比べた紫の髪の少年がにっこりと笑った。



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