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穢れ無き白の象徴
マンティコアは召喚者であるレヴィウスに体を擦りつけた。
ごろごろと気持ち良さそうに目を細める姿は猫のように愛らしい。

「セレスタイン、もういいぞ」

癖の無い真っ直ぐな銀髪に、黄昏色の瞳を持つ教師――ユーウェイン・トラウスの声にレヴィウスは頷き、マンティコアの頭を撫でると精霊因子の結合を解く。

「ありがとう」

と同時に獅子の姿は薄くなり大気中の因子と同化した。
レヴィウスがマンティコアを送還し終えた後もその余韻は冷めず、実習室はざわめきに包まれていた。

「静かに。次、シェイト・オークス」

ユーウェインの声に一旦静まったかに思えた生徒たちが庭かに色めき立つ。
シェイトのその秀麗な容貌は集中の為か鋭く研ぎ澄まされ、恐ろしい程に美しい。

『我が術と力をもって此処に願う。開け、幻界への門。我が喚び声に応えよ。汝、穢れ無き白の象徴……治癒を司りし神聖なるもの……』

淀み無く滑らかに紡がれる詩の内容にアリアは気付く。シェイトが召喚しようとしているのはあの“幻獣”なのだろうか。
空中にレヴィウスの時とは比べものにならない程に複雑な魔法陣が描き出されていく。

『……今こそ汝が姿、我が前に示せ。出でよ、気高き女神の僕、ユニコーン』

光が弾けた。目も眩むような光輝が収まった時には、幻の獣と謳われる白馬が顕現していた。



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あきゅろす。
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