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お楽しみは二日後に
「流石にセレスタインの名だと食いつかないか。いや、それともそれを承知で……」

顎に手を当て、何やら考え始めたレヴィウスはぶつぶつと呟いている。アリアの存在すら忘れているらしい。
だがやっとレヴィウスらしい表情に戻った。それでこそアリアの知るレヴィウスである。

「あ、ごめんね、アリアちゃん。一応、謹慎は二日残ってるからさ、その間にどうにかしてみるよ。アリアちゃんにも協力して貰うことになると思うけど」

「はい。私に出来ることなら言ってください。でも大丈夫ですか?」

アリアにしても協力は惜しまないつもりだ。しかし、どうにかしてみると言っても謹慎では何も出来ないのではないか。
大丈夫かと問うアリアにレヴィウスはにやりと笑った。

「大丈夫、大丈夫。任せといてよ。俺にも色々ツテがあるし」

そう言って彼は片目をつむって見せる。どのみち、アリアに出来ることは殆どない。レヴィウスが任せて置いてというのなら、彼を信じるしかないだろう。

「……お願いします」

「うん、任された。そういえば授業、行かなくていいの?」

時計は既に九時半をさしている。授業は勿論始まっているし、アリアだって制服姿だ。男子寮に無断で入ったこともそうだが、ばれたらただでは済まないだろう。

「あ、はい。そろそろ行きますね。あの、レヴィウス先輩」

「ん、何?」

窓枠に手を掛けたアリアは、レヴィウスの方を振り返る。彼女が何を言おうとしたのか悟ったレヴィウスはアリアを安心させるように微笑んだ。

「学園長のことは黙ってるよ。俺がどうにか出来ることでもないし」

「ありがとうございます」

本当にその選択が正しいのかアリアには分からない。だが生半可なことではレヴィウスをごまかせないだろうし、知ってほしかったのだ。
このままレヴィウスがクリスを誤解したままでは嫌だったから。

「楽しみに待っててよ。じゃ、二日後にね」

「はい」

晴れやかに笑うレヴィウスにアリアは頷いて窓枠に足を掛ける。誰もいないことを確認して、もと来たように木を伝って下りた。
レヴィウスはアリアが下りたのを見届けると机に向かい、紙とペンを用意する。

コネクト・ジュエルがあれば一番楽なのだが、生憎生徒が無断で魔具を所持することは出来ない。
だが手紙でも十分間に合うだろう。
何せ宛先は王都アージェンスタイン、セレスタイン別邸なのだから。



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あきゅろす。
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