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奇妙な既視感
「どうして私の名前を……」

「あ、さっきの試合、見てたから」

 何故、彼が自分の名を知っていたのか。初対面であるのはまず間違いないし、アリアはシェイトのように目立つ生徒ではない。少なくても彼に気に掛けてもらう生徒でないのは確か。
 アリアの戸惑いもよそに彼は笑う。立ち上がったシェイトはすっと手を差し出した。手を取れ、そういうことだろう。悪いと断ればいい。けれど、出来ない。その光景に奇妙な既視感を覚えながらも、アリアは彼の手を取った。


「……リア。おーい、アリアってば!」

「……あ、フィア」

 誰かが名を呼ぶ声にアリアが目を覚ました。真っ先に視界に入ったのは、同室であるフィアナの顔。そうだ、思い出した。
 ここは寮の自分の部屋である。あの後シェイトと別れた彼女は、夕飯までの間、仮眠を取る事にしたのだ。
 彼に感じた懐かしさ。でもそれを口に出すことは出来ず、結局は世間話をしただけで別れてしまった。

「そろそろ夕飯行かない?」

 フィアの言葉にふと窓の外を見ると、すっかり日も落ち、夜の帳が下りている。空腹を感じるのも当然だ。少し仮眠するつもりが、眠りすぎたか。

「うん。それにしても、もうこんな時間なんだ」

「アリアがあんまり気持ち良さそうだから起こすの遅れちゃった」

 自分は一時間ほど眠るつもりだったのだが、どうやら二時間も眠っていたらしい。アリアは背伸びをするとフィアと共に食堂へと向かった。



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