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親友、友人、自分は……
「実は先輩に見て貰いたいものがあるんです」

アリアは驚いて固まったままのシェイトにミゼルからの手紙を握らせる。封筒に書かれた差出人がミゼルだと言うことに気付いたシェイトは、急いで封筒を開けた。
ただならぬ雰囲気の二人をレヴィウスは見守るしかない。

ミゼルの手紙には“アイオーン”、混沌の支配者とはその名の通り、混沌を統べるものであり、女神アルトナが混沌の海より世界を創造したその時、残った混沌から生まれた世界の意思だと書いてあった。
だが彼女の言うアイオーンとシェイトが喚び出したアイオーンが同一の存在であるかどうかを確かめる術はない。
しかしアイオーンは自らを“混沌の支配者”と名乗ったはずだ。

「アリア、これは……」

「はい。でもまだ全てを判断するには情報が少なすぎます」

アイオーンが本当にミゼルの言うアイオーンだとしても、今の二人にはそれを確かめることが出来ないからだ。
アイオーンと対をなす存在もまたしかりだ。するとその時、腕を組み、壁に背を預けていたレヴィウスが口を開いた。

「なあ、シェイト。いい加減、話してくれないか?」

いつもの人好きのするような表情ではない。レヴィウスはいつにも増して真剣だった。そんな彼に対してシェイトはつとめて冷静に答える。

「レヴィ? 一体どうしたんだ?」

「ごまかすなよ。俺はそんなに頼りないか? 鈍いと思うか? お前、夏休み前から様子がおかしかった。かなり顔色も悪かっただろ? んで、今も何か隠してる」

問い詰めた所でシェイトは何も話さないだろう。この親友は変に頑固な所があるから。それが分かっていたからこそ、レヴィウスはあえて気付かない振りをしていた。
だがリフィリアであった一件でもシェイトは自分に何かを隠している。レヴィウスは確信していた。

なあ、シェイト。俺はそんなに頼りないか? それともお前にとって俺は友ですらなかったのか?

「……確かに俺はお前に隠していることがある。だけどそれは、俺自身も他人に上手く説明出来なかったからだ。それは今も変わらない……けど、もう限界だな。アリア、レヴィに話していいか?」

レヴィウスはシェイトが今まで見たこともない不安げな顔をしていた。それを見た瞬間、もう無理だと悟ったのだ。同意を求めるようにアリアを見れば小さく頷いてくれる。本当はまだ話すべき時ではないのかもしれない。しかし今話さなければシェイトとアリアは絶対に後悔するだろう。

「分かった。全部、話すよ」

シェイトは魔術対抗試合に始まって、リフィリアまでのことを全てレヴィウスに話した。今まで隠してきたアイオーンのことを。



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