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事の真相
「……それで学園長、お話と言うのは……?」

マリウスの言葉にクリスはこほんと咳払いをするとがらりと表情を変えた。クリスではなく、学園長クリス・ローゼンクロイツの顔だ。

「君達も察しは付いていると思うが、先のリフィリアの一件だ。……落ち着いて聞いて欲しい。マリウス君やミゼル君が倒れた原因は全て逆十字と戦略級魔術ディヴァイン・クロウにある」

「ディ、ディヴァイン・クロウってあの!?」

フィアナが驚きの声を上げるのも無理はない。戦略級魔術ディヴァイン・クロウによって引き起こされた悲劇はラクレイン王国に住む者なら誰でも知るものである。では街すら飲み込む魔術が原因とは一体どういうことなのか。

「逆十字は悪魔の力によってもう一つのリフィリアを作り出し、ディヴァイン・クロウを発動させようとしたんだ。二人が倒れたのは、ディヴァイン・クロウによって集束された莫大な精霊因子と魔力の影響を受けた結果だ。マリウス君やミゼル君は敏感な体質だったんだろうね」

高密度の精霊因子と魔力が人の体に悪影響を及ぼすことは魔導師なら知りうる知識だ。一部の呪力結界はそれを人為的に作り出したものである。
マリウスとミゼル。この二人はクラウディア同様、魔の力に敏感な体質であったため、真っ先に影響を受けたのだろう。

だが一歩間違えていれば、二人だけではない、多くの犠牲者を出したかもしれないのだ。まだ最悪の事態を避けられただけでも、不幸中の幸いと言っても過言ではない。

「じゃあ、アリアちゃんがぶっ倒れてシェイトがボロボロになって学園長が大怪我した原因は?」

病院に運び込まれた三人の有様と言ったらなかった。意識を失っていたクリスは血塗れだし、アリアもまた意識を失って学園でレヴィウスが目にした青年に抱えられていた。
シェイトはと言えば制服は所々裂けているし、白い肌には細かい傷は数えきれないほど。

「……当然、そう言うと思っていたよ」

そしてクリスはアリアを追い掛けた後の事を洗いざらい話した。アスタロトのことや契約者のこと。自分が大怪我を負った理由も。
ただし、ラグナの正体とアイオーンやアウローラについては伏せたまま。ラグナについては彼自身から、アイオーンとアウローラはシェイトとアリアの二人から詳細が分かるまで伏せて欲しいと言われているのだ。



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