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レヴィウスの気遣い
レヴィウス・フォン・セレスタインが人と深く付き合わないように、シェイト・オークスもまた自分の深いところには決して人を立ち入らせようとはしない人間だった。

レヴィウスと出会って少しはましになったものの、幼い頃の一件もあって彼は積極的に誰かと関わろうとしなかった。

だがシェイト・オークスという人間は養父であるクリス・ローゼンクロイツと同じように人を引き付ける魅力の持ち主だ。人がシェイトを放って置かない。
だがシェイトはいつだって寄って来る人間を邪険に扱ったことはなかった。……彼は優し過ぎるのだ。

だから辛い事も苦しい事も全部、己の中に押し込めて抱え込んでしまう。シェイトの柔らかい青灰色の髪を撫でながら、レヴィウスは微笑んだ。
普段なら直ぐに振り払われる手も、真剣さが伝わったのかシェイトはされるがままである。

「シェイトはよくやってるよ。だから少しくらい肩の力、抜いていいんだぞ? アリアちゃんもそうなんだけどな、お前が支えてやるんだ。あの子もお前と同じだからな」

「ああ、ありがとう、レヴィ」

この親友は本当に凄いとシェイトは思う。いつもおちゃらけているが、自分のことなんてお見通しのようだ。
いつも助けるつもりが逆に助けられている事もある。
レヴィウスという存在と出会えたから今の自分がいる。彼は必ず否定するだろうが、本当にそう思うのだ。

「気にすんな。親友、だろ?」

「……そうだな。でもありがとう」

「なら飯でも食いに行くか」

躊躇いなく自分を親友と言ってくれるレヴィウスにシェイトも笑い返す。本当にありがとう。俺もお前が自慢の親友だよ。
シェイトは差し出されたレヴィウスの手を取って立ち上がる。だがシェイトがその言葉を後悔するのは、ほんの数分後の事だ。


ホールに足を運んだ二人は人混みの中でアリアたちの姿を見つけた。アリアにフィアナ、マリウスといういつもの三人だ。ホールは昼時であることから微かにざわめいていたが、それは滅多に姿を現さないシェイトとレヴィウスの姿があるからである。
だが本人たちは全く気付かずに昼食を頼み、シェイトはアリアが座る向かい側に、レヴィウスは仕方なく、空いているマリウスの隣に腰掛けた。

「お邪魔しまーす。アリアちゃんにフィアちゃん、こんにちは。ついでにマリウスも」

「マリウスに謝れ、レヴィ」



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