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信じられない知らせ
クリスがシェイトから連絡を受けた時から時間は、約三十分前に遡る。イヴリースの墓参りを終えた二人は中央広場にいた。アリアの話によるとフィアナやマリウスたちと合流して昼食を取ることになっているらしい。
レヴィにも二人について行ってもらうように頼んでいるから丁度良いだろう。

「二人共、もうすぐ来ると思うんですけど」

アリアは広場に設置されている時計を見た。針はちょうど十二時を指している。とその時、大鐘楼にある鐘の音が鳴り響いた。鐘楼はリフィリアで初めに出来た魔具であり、芸術的な価値も高い。
その装飾はまるで芸術品で、魔具職人の祖と呼ばれるマイスターの作品としても有名である。

「二人には行き先は言って来たのかい?」

「いえ、行きたい所があるからとしか。でもいつか必ず話します。だって親友、ですから」

学園に入って出来た初めての親友。それがフィアナだ。まだ全てを話す覚悟はつかないけど、その時は、彼女は聞いてくれるだろうか。フィアナならきっと、多くを語らず、頑張ったねと言ってくれるだろうと想像出来た。

「そう。親友、か……」

親友。シェイトにとってそれはレヴィだ。少しお調子者で一直線な奴だけど、シェイトは彼が自分にないものを持っていると思う。
人は無意識に己に欠けたものを他人に求めるのだと言うが、自分はどうだろう。
レヴィウスは、掛け替えのない友人であり、シェイトが手に入れたささやかな幸せの象徴たる存在だった。

そう呟いた時、そのレヴィウス本人が息を切らせて走って来る。間違いない。あれはレヴィだ。だがアリアとシェイトが視界に入っていない彼は、明らかに焦って何かを捜しているようだが……。
思った時、レヴィと視線がかちあった。

「良かった、アリアちゃん。シェイトも居たか。大変だ!」

余程焦っているのか、息も絶え絶えといった様子で話そうとするが声が続かない。肺が切実に酸素を求めていた。

「まずレヴィが落ち着けって。ほら、ゆっくり息を吸って何があったのか教えてくれ」

「あ、ああ」

シェイトに言われた通り、まず落ち着いてゆっくりと深呼吸した。息が苦しいのは相変わらずだが、何とか楽になった。

「マリウスが倒れたんだ! 今、フィアちゃんが病院についててくれてるけど、アリアちゃんに知らせようと思って……」

「え?」

嘘でしょう。そう先輩に問いたかった。でもレヴィウスは、アリアが今まで見たことがないくらい切羽詰まった顔をしていた。



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