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ラグナ・バーンスタイン
《学園》を囲むように広がる妖精の森を一人の青年が歩いている。年齢は恐らく二十歳前後。肩より短い黄金色の髪に金緑の瞳。左の耳には、青み掛かった月長石の耳飾が揺れている。

右半分を白いペルソナで覆った端整な顔立ちの彼は、鬱蒼とした森を迷わず進んでいく。結界の役割を果たすこの森は魔力を持たぬ身では抜ける事すら難しい。

歩き続けていた青年の視界に強大な建造物が入った。それこそ広大な敷地を有する世界最大の魔導師育成機関――アカデミーである。
夏期休暇も残り二日ではあるが、生徒の姿は疎らで正門周辺に居るのは彼と門番の魔導師だけだ。

「規則ですのでお名前と御用件をお願い致します」

白いローブを纏い、学園の紋章を付けた魔導師の言葉に青年は頷き、口を開いた。

「名はラグナ・バーンスタイン。学園長と話しがあるんだが……」

「バーンスタイン様ですね。はい、学園長より伺っております。お入り下さい」

魔導師が一礼し、後ろに下がったかと思うと頑丈な両開きの門は音を立てて開かれた。
金髪の青年――ラグナは学園内へと足を踏み入れる。

世界最大と言うだけあり、その広さは凄いもので玄関までが果てしなく遠い。ラグナがげんなりしながら校庭を歩いていると一人の少年が立ち止まった。

「……なぁ、あんた。どこかで会ったことないか?」

学園の制服に身を包んだ朱色の髪の少年は、ラグナを爪先からてっぺんまで見つめると、唸りながら首を傾げた。



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