意外な欠点
「遅くなってごめん。ど? はかどってる?」
声に振り返るとアリアとシェイト、マリウスの姿があった。
勿論この三人は既に課題を終わらせてある。
「アリア、これがはかどってるように見えるなら病院行った方がいいわね」
レヴィウスは知らないが、フィアナの課題は未だ八割は残っている。召喚魔術に関するレポートに魔術理論のプリント等など。そこまで残した自分が悪いのだが、数えるだけでやる気が削がれる。
「おい、シェイト。こっちも助けてくれ……」
レヴィウスは今にも死にそうな声を出し、シェイトの制服を握り締めて助けを求めた。
シェイトはやれやれと肩を竦めて見せると誰もが見とれるような笑みを作る。
「レヴィ、俺が見せたらお前のためにならないだろう。自業自得だ」
その一言にぴきっ、とレヴィウスのこめかみに青筋が立った。確かに自分が悪い。それは理解出来る。だがシェイトに言われると何か腹立つ。
「毎朝誰が起こしてると思ってんだよ!」
思わず口をついて出た言葉に一気に静かになる図書室。しかしそれも一瞬の事で直ぐに元の喧騒に包まれた。
「……先輩って寝起き悪いんですか?」
「聞いてよ、アリアちゃん。悪いったらありゃしないよ。下手に起こせば魔術飛んで来るし、かといって普通に起こしても絶対起きないし。本来俺、起こされる立場でしょ!?」
容姿端麗、成績優秀と一見非の打ち所のなさそうなシェイトだが、本人いわく低血圧であるため、寝起きが非常に悪いのだ。少しは起こす方の身にもなって欲しいものである。
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