地獄の二日間
学園内、北に位置する図書館にて。
本棚から少し離れたスペースにゆったりと設けられた空間。広い机と椅子が多く並んでいる。
その机の一つに二人の少年少女が俯せになっていた。机の上に積まれているのは教科書とノート、そして空欄が目立つプリントである。
「レヴィウス先輩、何とかして下さいよ」
フィアナはぐったり机に寝たまま、目の前の少年に呼びかけた。朱色の髪の少年――レヴィウスは狸寝入りを決め込むつもりなのか目を閉じ、微動だに動かない。
フィアナがきっ、と睨み付けると流石に観念したのか渋々と言った感じで顔を上げた。
「無理。俺もそれどころじゃないもん」
とレヴィウスが示したのは幾つもの付箋が付けられた分厚い教科書とレポートを書くために広げられたノートである。だが肝心の中身は真っ白で、手の付けられた形跡すら無かった。
それを見たフィアナは僅かだが、レヴィウスに対する評価を改めた。シェイトほどでは無いにせよ、彼もまた天才と称される人物である。努力とは無縁なのかと思っていたが、使い込まれた教科書を見る限りそうではないのだろう。
この人はきっと何倍もの努力をしてるんだ。周りの期待に応えるために。本人は否定するかもしれないが。
「あと二日でどうにかなると思います?」
長い夏期休暇も残すところあと二日。しかしフィアナとレヴィウスに取って最悪の二日になることは考えるまでもない。
「無理っしょ。つーかやる気も出ないし」
レヴィウスは既に飽きたようで指でペンをくるくる回している。普通なら器用だなと思う所だが、今のフィアナにそんな余裕はない。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!