ノリノリな三人
歩き出したまでは良かったもののフィアナとマリウスの間には、何とも言え無い雰囲気が流れていた。
周りは祭でわいて居るのに二人の空気だけがぎこちない、そんな感じだ。
「……ちょっと飲み物でも買って来るよ。フィアは座って待って」
「う、うん」
マリウスはフィアナをベンチに座らせると人混みの中へと消えた。
『あら? マリウス様どこかに行ってしまわれたみたいですけど』
壁から二人のやり取りを覗いているのはロザリナ。何だかんだ言ったが十分のる気になっていた。
『フィアちゃんがベンチで待ってるって事は、飲み物でも買いに行ったんだろ』
『そう考えるのが妥当だな』
ロザリナと同じく初めは渋々と言った感じのハロルドだったが、今はこんな状況を楽しんでいるように見える。
『まったく……何だかんだ言っても楽しんでるなぁ。ま、焚き付けたのは俺だけどな』
心の中でレヴィウスは呟き、ロザリナとハロルドに気付かれないように苦笑をもらした。
マリウスは、近くの公園まで来ると偶然目に入った屋台に足を止める。幸運な事に客も少なく、待つ必要も無さそうだ。案の定一分と経たずにマリウスの番が来た。
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」
「オレンジジュース二つお願いします」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
ジュースを待つ間マリウスは、近くにあったベンチに腰を降ろした。シェイアードの中とは言っても祭のためか公園内の人も疎らだ。
ふぅ、とマリウスは無意識に溜め息をもらす。
「何か悩み事ですか?」
掛けられた声にマリウスは、声の主を見上げ、絶句した。それは数日前と同じ様な状況。
彼の前でふわりとした笑みを浮かべているのは、絹糸のような金の髪に海とも空とも言えない不思議な青の瞳を持つ聖職者の青年だった。
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