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光に近しき者
『お兄様、覗き見はいけません』

『ロザリィ、生暖かく見守っていると言ってくれ。ま、アリアちゃんの方はシェイトがついてるし大丈夫だろ』

『あのコが一緒なら大丈夫か』

ハロルドはのほほんとした表情でレヴィウスに相槌を打った。
ハロルドが見た所でもあのシェイトと言う少年は、魔術、武芸共に申し分無く、学園の生徒にして置くのが勿体ないくらいだ。
魔力だけで言えば自分はおろか教皇猊下にすら匹敵するかもしれない。

『あの二人も護衛対象なんだけどなぁ』

壁に引っ付いている三人の姿は怪しさ満点であるが、幸いにして目を向ける者は居ない。

『心配無いって。フィアちゃんはああ見えて武芸の名門クルスラー家の出身だし』

クルスラーの一族。多くの騎士、武芸者を輩出して来たラクレイン王国屈指の名門。フィアナは、一族の中で始祖クルスラーの再来とまで言われた才能の持ち主なのだ。
フィアナ自身はそう呼ばれる事を好いては居ないようではあるが。その辺りの事はレヴィウスもよく知らない。

『マリウスに至っては……シェイアードに居る限り絶対安全だ』

そう、マリウスは此処シェイアードに居る限り安全は保証されている。

『絶対って、何でまた……根拠は?』

ハロルドはレヴィウスの言葉の意味を理解出来ていないようで変な表情を浮かべている。ロザリナも首をかしげ兄の言葉を待つ。

『あんたなら知ってると思ったけど。なら俺が言うべき事じゃない』

そう言ってレヴィウスは言葉を切った。

『……一つだけ言えるとすればマリウスは“光に愛された者”に最も近しい者なんだろうな』

ハロルドは言わんとする意味を察したようで、言葉を噛み締めるように目を伏せた。



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