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すれ違う思い
「あの……」

恐ろしい程の沈黙を破ったのはアリア自身だった。

「どうかした?」

「先輩、何だか顔色悪くないですか?」

元から肌の白いシェイトだが、今の彼は明らかに顔色が悪い。少なくともアリアにはそう見える。

「そう? 気のせいじゃないかな」

まさか彼女にばれるとは露にも思わなかった。自分でも少し態とらしいと思いつつも適当にはぐらかす。
数日前、アイオーンを召喚した時からシェイトの体は不調を訴えていた。

気分が優れないのは勿論の事、自分の中で強大な魔力が荒れ狂う不快感。
魔力を封じる筈のピアスが砕け散った今は、他の貴金属で代用しているが、それも何時まで持つか分からない。

魔力を封じても尚、シェイトの魔力は少しずつ洩れだし確実に彼の体力を奪っていた。感覚としては貧血状態に近いかもしれない。目眩とふらつきがシェイトを襲い思わずその場に膝を付く。

「先輩!? 大丈夫ですか?」

「……へ……いきだから」

咄嗟に駆け寄ろうとするアリアを片手で制す。口では平気だと言ってはいるが、シェイトの白い肌は今や雪のように青白い。

「でもっ!」

先輩、私はそんなに頼りないですか……?
そう言い掛けた言葉を飲み込んだ。立ち上がろとしたシェイトだが、まるで足に力が入らない。自由にならない自分自身がもどかしい。
不安そうなアリアの表情が目に入る。ああ、そんな顔をさせたい訳じゃ無いのに……。

「先輩! シェイト先輩! しっかりして下さいっ!」

名を呼ぶ声が遠くで聞こえた。そこでシェイトの意識は闇に墜ちた。



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あきゅろす。
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