こう見えて実は
「アリアちゃん〜フィアちゃーん」
と何処かで聞いた声が二人の耳に届いた。
「「レヴィウス先輩」」
よっ、と片手を上げ、ドアにもたれ掛かった状態でレヴィウス・フォン・セレスタインは笑みを浮かべた。
「やっほーてか此処暑いって。窓開けるよ」
レヴィウスはつかつかと部屋の中まで入ってくると奥にある窓を勢い良く開ける。すると開け放たれた窓から吹く初夏の風がふわりと頬を擽(くずぐ)った。
学園内では制服の着用が義務付けられており、夏期休暇中でも例外では無い。他の三人が長袖の中、レヴィウスだけはネクタイも付けずラフなシャツ姿だ。
「所でフィアちゃん、勉強捗ってる?」
「これが捗ってるように見えますか……?」
フィアナは精も魂も尽き果てたようにやや虚ろな目を向け、そう言った。
「や、見えないけど一応聞いとこうと思って。何なら俺が教えようか?」
フィアナは得意気に笑うレヴィウスを一瞥するとぽつりと呟く。
「あんまり勉強出来なさそうに見えますが……」
彼女のレヴィウスのイメージは自分と同じく筆記はイマイチ、実技が得意そうに思えるのだが。
言動からして頭が良い筈が無い! 気がしないでもない。
「こう見えても先輩は、成績は常に学年10位以内なんだよ」とマリウス。
「ちなみにシェイト先輩はいつも学年1位だけど」
補足するようにアリアがフィアナに耳打ちする。
「……見えない」
「ひどっ! フィアちゃんてばそんなに俺が頭悪そうに見える?」
「少なくともオークス先輩と此処にいる私以外よりは」
途中まで答えが書かれた、だが殆んどは白紙のプリントを見ながらフィアナはそう付け足した。
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