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創世神話

 この世界、アリア・アースヘルヴは神々の歌より生まれたとされている。対であり、互いに半身である二柱の神。
 ――神竜王グランミュリン。世界を創造した神の一柱。秩序や安定、安寧、昼を司る慈悲深き神。
 ――魔竜王ラインハルト。世界を創造した神の一柱。混沌や変化、混乱、夜を司る雄々しき神。

 彼らは元々一つだった。一つであった時とは違い、別たれてしまえばグランミュリンもラインハルトも互いの心が分からず、すれ違うばかりだった。

 いつしか彼らは争うようになった。己の存在意義をかけて。互いが憎かった訳ではない。
 愛しているからこそ、神々は争い続けた。互いを分かろうと。元は一つであった神々は言葉を交わすことを知らなかった。戦うことでしか互いを理解出来なかったのだ。

 そしてある時、彼らは己の分身たる存在を作り出した。グランミュリンは眷属として神族を、ラインハルトは魔族を。そして力なき人の子を。

 神族。其は光と秩序より生まれしもの。神なる竜より生まれし存在。

 魔族。其は夜と混沌より生まれしもの。魔なる竜より生まれし存在。

 人族。其は光と闇より生まれしもの。神と魔なる竜より生を与えられし存在。

 神々が眠りについた後、いつしか彼らは争うようになった。互いを理解するためではない、憎しみをもって。どれほど時が経とうとも変わらず、憎み合う彼らを見て、神々は何を思うだろう?
 悲しみに暮れて歌い続けるか、それとも何もかもをやり直すのか。
 全ては神のみぞ知る。



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あきゅろす。
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