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の満月が昇る時
魔核発見、確信へ
 一行が船着き場に到着した時には、既に豪奢な船は今正に出港しようとしてた。緩やかに波に乗り、陸から離れて行く。
 あたしはこんなところで何やってんのよー……。船を追いかけるように走るリタがぽつりと呟く。答えるなら、船を追いかけてるんだと思います、だろう。同じように並走するユーリが静かに言った。

「行くぞ」

 言うなり、ユーリはカロルの体をひょいと横から抱えあげた。抵抗する暇も抗議の声をあげる暇もない。一瞬の早技である。そして、そのまま大きく地面を蹴った。ふわり、と体が宙を浮く。

「ちょっと待って待って待って! 心の準備が〜〜〜〜!!」

 カロルの叫びも虚しく、高く飛び上がったユーリはそのまま、船に飛び移った。
 ラピードとエリシアも難無く後に続くと、ユーリとエリシアが手を伸ばし、残りの二人を引き上げる。
 甲板に乗り移った一行は一通り、船の中を見渡す。
 特に変わったものは……あった。リタの目の前に置かれた木箱。箱自体は何の変哲もない箱そのものだったが、中身が問題である。何気なく箱を開けたリタは途端、絶句した。

「……これ、魔導器の魔核じゃない!」

 リタの声に驚き、エリシアたちも箱の中身が見える位置に移動する。
 確かにリタの言う通り、木箱の中には種類も色も全く違う魔核が詰め込まれていた。

「なんでこんなにたくさん魔核だけ?」

「知らないわよ。研究所にだって、こんな数揃わないってのに!」

 魔導器を研究しているアスピオの研究所にだって、ここまでの数は揃わない。魔核が貴重だからこそだが、それがこんな船の中に無造作に置かれているなんて。驚くリタにエリシアは確信していた。

「正規のルートで手に入れた魔核じゃない。全ては魔核ドロボウと繋がってる、か」

 これほどの魔核を集めるのは容易ではない。しかも研究所ですら揃わない数なのだ。そうなれば目の前にある魔核は当然、正規のルートで手に入れた品ではありえない。

「やはり関係があるんでしょうか?」

「かもな」

 エリシアが言ったように全ては繋がっている。
 既にその時、確信していた。屋敷に紅の傭兵団がいたのだ。あの男が無関係とは考えられない。むしろラゴウと手を組んでいたと考える方が自然だろう。



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あきゅろす。
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