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の満月が昇る時
フレン登場
「まさか、こいつらって、紅の絆傭兵団(ブラッドアライアンス)?」

 ラゴウが指差したのはエステルである。何故エステルなのか。その答えは先ほど口を滑らせた一言にあった。
 命令を受けた傭兵が武器を構え、一行を包囲する。斧を構え、臨戦態勢を取ったカロルが男達の服装を見て叫んだ。
 紅の絆傭兵団は、主に護衛を主とするギルドである。彼らの服には五大ギルドの一つ、紅の絆傭兵団(ブラッドアライアンス)を示す徽章が付けられている。

「そうよ!」

 傭兵たちを見てエリシアが頷く。父のギルド、獅子の咆哮(レオンハルト)と敵対しているギルド、紅の絆傭兵団を自分が見間違えるはずがない。
 彼らは仮にもギルドを纏めるはずの五大ギルドの一つだと言うのに、ここ最近、信義に反する行いが目立っている。

「それ、もういっちょ!!」

 リタの方は視界の下で戦っている仲間たちには目もくれない。無駄のない動作で印を切り、手を掲げる。何度目かの炎の玉は、今まで以上に室内を縦横無尽に駆け巡った。
 やや危なげなものの、カロルの斧が傭兵の武器を弾き飛ばし、ラピードがいつか帝都で見せたような足払いを華麗に披露する。エステルは危なげなく盾で剣を受け止めると、隙をついてサーベルを振るった。

 エリシアは愛銃で器用に傭兵たちの武器を弾き飛ばし、ユーリは遠慮なく峰打ちで男たちを気絶させる。
 ちなみにこの峰打ちというのは物凄く痛い。思いきり殴り付けられたのだから当たり前だが、手加減したとは言え、ユーリのことだ。恐らく青痣となって残ることだろう。

「十分だ、退くぞ!!」

「何言ってんの、まだ暴れ足りないわよ!」

「リタは十分暴れたでしょ」

 あらかた片付けた後、退くぞ、と皆に聞こえるようにユーリが叫ぶ。すると抗議の声は上から降って来た。声の主はリタである。
 それともあれだけファイアボールを連射していたのは、彼女の基準では、暴れる内に入っていないのか。エリシアにすれば本来、怒りをぶつけたい相手(レイヴン)はいないのだから。

「早く逃げないとフレンと御対面だ。そういう間抜けは御免だぜ」

「まさか、こんなに早く来れるわけ……」

 直後、リタの手から炸裂する火球。まだ来るわけがない、そう反論しようとしたところに響く複数の足音。
 扉から姿を現したのは紛れもなく彼である。鮮やかな金の髪に帝国騎士であることを表す鎧。ユーリにしてみれば、厭味なくらい貴公子然とした顔立ちの青年、フレン・シーフォとその部下、ソディアとウィチルだった。



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あきゅろす。
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