君に届く歌 水晶の牢獄で 冷たい水晶の中で長い、気の遠くなるほどの時を眠り続けて来た。唯一の完成体だと言われたこともあった。だけど……。 『お前は失敗作だ』 そう叩きつけられた。原因はマスターがあまりに限定されてしまったから。自分と共鳴出来る人間が少なすぎるから。 でもそれでよかったのかもしれない。所詮自分は贋物でしかないから。 この仮初めの肉体も心も失くなってしまえばいいのに。でも自分たちに心があるのは、心がなければ共鳴出来ないから何だって。でもただぼんやりとした意識しかない状態は苦痛でしかない。 ……一人は寂しいよ。誰か、誰か助けて。ここから出して。 [*前へ] [戻る] |