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ルカディア
行く先は
『ああ。此の命有る限り、私はお前と共に在る』

 アルは誓いの言葉を口にすると目を細め、添えられた手に頬を寄せる。
 幼きあの日、アルが誓ってくれた言葉。何よりも嬉しかった。自分は一人じゃないと勇気付けられた。
 でも改めて言われると何だか照れ臭い。ルカはアルから手を離すと話をそらした。

「……うん。ありがとう。あ、イクセはどうするの?」

 不安気に隣のイクセを見上げる。ルカにしてみればついて来てくれれば心強い。
 だがアルは命の危険に曝されるかもしれないと言った。いくら彼が凄腕の冒険者と言えど、人より遥かに強い力を持つ竜までもが危険だという場所に好んで行くだろうか?

 もし行くというのなら余程の物好きである。それに冒険者は体が資本だ。これは依頼ではないし、ましてや報酬があるわけでもない。
 いくら彼がルカを気に入っているといっても、それとこれとは話が別だ。

「ん? 俺はお前について行くって決めたからな。今更何がこようとも構わないさ」

 だがルカの懸念をよそに、イクセは軽く答える。イクセにとって死の危険は日常茶飯事、隣り合わせに存在する。冒険者である以上、死の危険は避けては通れないのだ。
 死にかけた経験など一度や二度ではない。死を覚悟したことだってある。

「イクセ……」

『お前は本当に変な奴だな。ある意味では感心する』

 ルカはイクセの名を呼ぶことしか出来ない。会ったばかりの自分と共に来てくれる。それがどんなに嬉しいことか。
 ルカの肩に乗ったアルは呆れたように笑う。酔狂な人間だ。ある意味では驚嘆に値する、と。

「そりゃどうも。で、そこへはどうやって行くんだ? 聞くにはこことは違う空間なんだろ?」

『それは問題ない。私とあやつは繋がっている。何せ同じ存在(もの)だからな。しかし……そうだな、人目につかない場所がいいだろう』

「じゃ、街の外だな」

 人目につかない場所、となれば街の外に出るのが一番早い。街中でも人気がない場所はあるにはあるが、ここからなら外に出たほうが早い。
 イクセに連れられ、ルカとアルは広場を出て街の外へと向かった。




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