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ルカディア
出した結論
「アル……」

「でもいいのか? 始竜たちは世界に干渉出来ないんだろ?」

「ま、そうだけどね。でもオレたちだって指くわえる訳にいかないっしょ。こんな時に」

 いいのか、と尋ねるイクセにリオンが相変わらずの軽い声で返す。その口調は軽いものの、表情は真剣そのものだ。例えかつての友であろうと、否、友であるからこそ、この手で討つ。今のリオンには迷いなどなかった。
 迷いは判断を鈍らせる。大切なものを守るために、もう一度彼と相対そう。

「行きましょう、皆様。全てを終わらせ、始めるために」

 一歩前に出たゼフィが胸の前で手を組んだ。まるで祈りを捧げるように。そう、これが終わりではない。始まりなのだ。退路はない。ならば愚直なまでに進むまで。

『飛ぶぞ』

「ありがとう、リード」

 肩に乗ったアルの言葉に、ルカがリードの方を振り向き笑顔で礼を言う。その後ろからイクセが小さく手を振った。瞬間彼らの姿がその場から掻き消える。術でも使ったのか、気付いていたのはリードただ一人。そこにはもう、数秒前まで彼等がいたという痕跡すら残っていなかった。

 どいつもこいつもリードの理解の範疇を超える奴らばかりだ。一般人にして常人である自分には理解出来ない。ただ、彼らといると、退屈だけはしないようである。一つ気になることと言えば、飴色の髪の少年――ルーアが見当たらなかった。考えすぎだろうか。

「あーあ……。情報料貰い忘れちまった。ま、いいか。俺が勝手にやったことだし」

 ルカたちが消えてから気づく。彼らから、情報の代金を貰うのを忘れていたのだ。小夜啼鳥なら滅多にしない失態だが、それでも構わなかった。これは自分が勝手にしたこと。頼まれていた訳ではない。お得意様なのだから、サービスとでも考えよう。両腕を頭の後ろに添え、リードは空を仰いだ。彼らが何をしようとしているのか、自分は知らない。

 けれど、何かをしようとしているのは確かだ。それはきっととても仰々しいこと。だからせめて、彼らの無事を祈ろう。自分には祈る神などないけれど、居もしない神に祈るのも悪くない。
 無造作にポケットから取り出した一枚のコインを指で弾く。ピィン、と鋭い音を立てて金色のコインが宙を舞う。それを横から右手で掴み取り、リードは笑った。

「……死ぬなよ。ルカ君、黒呀」



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あきゅろす。
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