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の御子

人類の危機
「確たる証拠はないのですが……彼女らがベルン王の側にあらわれたのと『竜』たちの復活の時期はほぼ同じ」

『暗闇の巫女』と『闇を招く者』がベルンに現れたのは竜復活の直前。どちらかが『魔竜』である可能性は高い。

「いずれにせよその二人に会ってみないことには真実を確かめることはできないようですね」

ヨーデルの言葉にロイは慎重に答える。そのどちらが魔竜であったとしても、会ってみないことには分からない。
決め付けてしまうのは危険だ。あるいはセラなら分かるかもしれないが、今彼女は恐らくリンと共にいるのだろう。

「はい、私もお手伝いいたしますぞ」

「ヨーデル司祭が? それはありがたい」

ヨーデルの申し出はロイにとってありがたいものだった。光魔法や杖の使い手としては勿論、これからベルン軍と戦うには戦力は一人でも多い方がいい。

「ロイどの本当に『魔竜』が復活しているとすれば、これは『人竜戦役』以来のわれら人類の危機です!」

ゼフィールが何を考えて魔竜を復活させたのかはわからない。しかし竜族の長と呼ばれる魔竜が復活しているのなら、正に人竜戦役の再来だ。
千年前は辛くも人族が勝利をおさめたが、神将器も大半の力を失しなった今、正面からぶつかれば勝機はない。
ヨーデルのいう通り、人類の危機だ。

「はい、全力をもってともに立ち向かいましょう!!」

出来るならロイとて戦いたくない。しかしそうはいかないことも分かっている。
だから今は全力をもって戦うだけ。

封印の神殿を落とせば、後はベルン王宮だ。そこで全てが終わる。いや、終わらせてみせる。
悲しみの連鎖を断ち切り、戦いを終わらせるために。

「ロイ様」

「セラ。その方がリンさんかい?」

振り向いた先にはセラと三十代だと思われる一人の女性。長い緑の髪を頭の上でまとめ、サカの民族衣装を纏っている。腰にはサカの剣士たちが使うような片刃の剣を下げていた。
この人がスーの母であり、セラの親友。二十年前に父やヘクトルと共に戦った女性なのだ。

「初めまして、ロイ様。リンと申します」

「初めまして。お会い出来るのを楽しみにしていました」

ロイは差し出されたリンの手を握る。セラの親友であり、父や二十年前の仲間たちと共に戦った彼女とぜひ会ってみたかったのだ。



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あきゅろす。
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