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の御子

最も長い一日
ロイたちは遂にベルン本国へと兵を進める。そこでセラとギネヴィアに教えられた『封印の神殿』へと進路を取った。
セラによると封印の神殿には八神将の一人、ハルトムートが魔竜を封印したさいに用いた竜封じの剣と、ブラミモンドが携えた黙示の闇アポカリプスが眠っているという。

しかしそこでは『大陸最強』をであるベルン竜騎士団を中心とするベルン本軍と、ベルン三竜将の筆頭、マードックがロイ達を待ち受ける。
エトルリア王国とベルン王国、大陸を二分する両国による正面決戦。『もっとも長い一日』が今、正に始まろうとしていた。

「軍の配置、全て完了いたしました!」

その言葉に頷き、兵を下がらせると、マードックはゲイルに視線を向ける。
ベルン軍は封印のた殿を中心に布陣しており、命があればすぐにでも攻撃を開始できる。

「うむ、ご苦労。いよいよだな、ゲイル」

「はい、こちらの準備も完了しております」

ナーシェンに代わり、三竜将となったゲイルだが、彼はこれまで通り、マードックの臣下たる構えを崩そうとはしなかった。
ベルン本軍とエトルリア軍。大陸最大の二軍がぶつかれば、この一帯も無事では済まない。この一戦が文字通り、雌雄を決する戦いであることは予想できた。

「今回の作戦では貴様の部隊がカギとなる。よいな」

「お任せください。必ずご期待にお応えします」

竜騎士は大陸最強の名を欲しいままにして来た。それはこれからも変わらない。
軟弱なエトルリア軍など策ごと踏み潰してくれる、とでも言うように。

だが大陸最強であったベルン軍はこの『最も長い一日』で最大の敗北を喫することになる。
それの理由について多くは語られていない。後の史実ではこう残るのみ。

『ロイ将軍は神軍師と共に大陸最強のベルン軍を打ち破った。大陸最大の二軍が激突した一戦であったが、その犠牲者は戦いの規模から考えると驚くほど少ないものであった』と。

「うむ。ベルン軍本体の恐ろしさ思い知らせてくれよう。だがついにここまで来たな、あのリキア同盟の将軍」

「ロイ殿ですね」

マードックはゲイルの言葉に首を振る。僅か十五歳にしてリキア同盟をたて直し、エトルリア軍の総大将となった少年。アクレイアを取り戻し、あのナーシェンを破って見せた。
まさか本当に相対することになろうとは。

「一体、どのような戦い方をするのか……相まみえるのが楽しみだな」

視線を向けた先にはエトルリア軍の姿が見える。あのどこかにロイ将軍がいるのだろう。
どのような策で来ようと負けるつもりはない。だがマードックは『ロイ将軍』と相まみえることを心から楽しみにしていた。



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あきゅろす。
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