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私的恋愛大戦


「おはよう名前」
「まだ眠い」
「起きろ」
「嫌だ寝るんだもん」

ふざけんな、どす黒い声が聞こえる。布団が急に引っぺがえされてしまい私は思わず丸まるが、身体が次の瞬間浮いたのだ。何事だ、目をぱちりと開けると不機嫌な顔をしたクロス先生。あ、クロス。(昨日クロスって呼べって強制されたっけ)

「どこですか?」
「俺ん家だろうが」
「あ、本当だ」

どさっ、鈍い音とともにソファーに落とされる。ついでに頭から制服や衣服が降ってきて首が痛い。非難の目でクロスを見ると楽しそうな笑顔を浮かべながら煙管を取り出した。

「とっとと着替えねーと昨日の楽しい授業の続きするが?」
「着替えますー」
「朝どうする、乗ってくよな車。ていうか乗れよ」
「喜んで」

ワイシャツに袖を通しながらクロスを見る。いつの間にか、キッチンに居て二人分のコーヒーを作っている。ぼんやりと着替えながら眺めつつ、クロスの意外な一面にやっぱりキュンとしてしまう。意外と、家事や炊事も何でも出来るその姿に不覚ながら見惚れてしまう。昨夜も、ぐったりとしていた私に自分の服を着せてくれた。

私も、馬鹿じゃない。昨日クロスに抱かれてから確定した感情。キュンとしたりする、この感情。クロスが、私はクロスがきっと、

「好き」
「あ?」
「…このテレビに出てる俳優が好き。かっこいいなー」
「嘘が下手だな」
「この人もいいなー」

私は好きでも、クロスがただ私で暇つぶしに遊んでいるだけかもしれない。なんか、寂しいし悔しい。考えれば考えているうちに不機嫌になってくる。ソファーで体育座りをしながらふて腐れていると、頬っぺたに暖かい何かが当たった。

「ほら、飲め。目が覚める上に俺の入れたやつだからな。何か分からねーけど御利益あるかもしれないぞ。おら、飲め」
「あ、ミルク入ってる。私、コーヒーの好み教えてなかったんですけど。もしかして、エ、エ、エスパークロスだったりするんですか?うわ、凄い」
「阿呆、何となくだ」
「へぇ、ありがとうございます。わ、いい匂いするー!」

小さくカップに口をつけ、一口飲む。私が好きな甘さで、やっぱりクロスってエスパーなんだなと思いながら笑う。さっきまで不機嫌だった事も軽く吹っ飛んでしまった所が面白い。でも、こういう優しい所を感じる度に好きという感情は増すばかりだ。

たった、一日二日の事なのに。好きという感情は一日二日を越す。コーヒーをテーブルに起き、近くで立ちながらテレビを見ていたクロスに飛びつく。

「クロス、何か私分からなくなってきちゃったんですけど」
「何がだ」
「だって、好きなんだもん。よく、分からないけどね」
「俳優がか?」
「死ね」


笑いながらクロスは私に抱きしめ返してきた。それは照れ隠しだといいんだけど、まだこの化学教師は油断ならない。











:)
Title→リッタ
恋するのに理由なんか
いらないですよね*^^*




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